地下室の解体で行う埋め戻しとは|価格相場や費用を抑えるポイントを調査
地下室の解体は大掛かりな工事になり、地下室部分の埋め戻し工事や役所への手続きも必要です。今回は、地下室の解体工事をご検討の方に、解体工事の価格相場や手続きの方法、費用を安く抑えるポイントについてお伝えします。後ほど詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・地下室の解体には解体工事や廃材処分費用だけでなく、地下室部分の埋め戻し費用も必要となり費用は300万円以上必要になる
・地下室解体の基本的な手順は「地上部を解体する」「地下部分の解体をする」「埋め戻しを行う」「整地をする」「地上部分を再建築または更地にする」の5ステップ
・地下室の解体工事費用を安く抑えるポイントは「役所への手続きは自分で行う」「自治体からの補助金がないか確認する」「解体業者に直接依頼する」「複数の業者に見積もり依頼をして費用を比較」の4つ
目次 [ 非表示 ]
地下室の解体にかかる費用は?
地下室の解体には解体工事や廃材処分費用だけでなく、地下室部分の埋め戻し費用も必要です。もし、地下室解体後に住宅を再建築して住む場合は工事完了までの間の仮住まいを探す必要もあり、その分の費用も予算に入れておかなくてはいけません。
関連記事:知っておきたい解体工事の基礎知識と費用の価格相場をご紹介します
地下室の解体は埋め戻し費用がプラスされますので、300万円以上は予算を確保しておく必要があります。敷地に重機が入らない場合は、解体作業や資材の搬出入もすべて人による作業となるため人件費がアップします。また住宅の築年数が浅い場合も、住宅建材が丈夫なため解体に時間と手間がかかりその分費用が上がります。
地下室解体の基本的な手順
地下室解体の基本的な手順をご紹介します。それぞれの手順を詳しく見てみましょう。
1. 地上部を解体する
地下室を解体するには、地上部分をそのままにして工事をすることはできません。現状の地上部分を解体して、工事車両や重機が入ることが出来るようにしたり建築資材を搬入できるようにする必要があります。工事期間中は居住することができないため、その間の仮住まいを探しておく必要があります。
2. 地下部分の解体をする
地下室には、基礎部分に防水層を施していたり断熱材を張ったりしていますが、解体工事ではこれらの建築資材をすべて撤去します。基礎や外周壁はそのまま残すか後の工事に使用するのか、地下室解体後の計画によって異なります。
3. 埋め戻しを行う
埋め戻し材を入れ、散水と転圧をして固めながら埋めていきます。徐々に地盤沈下していく可能性を考慮して、しっかり締め固める必要があります。埋戻しに使われる埋め戻し材には砂・火山灰・再生骨材などがあり、その素材とグレードによっても価格が変わってきます。近年では環境に配慮した高流動埋め戻し材も開発されています。
参照:高流動埋戻し材「スラモル」|株式会社金子コンクリート
4. 整地をする
埋め戻しをしたら表面の埋め戻し材をならして整地をします。作業終了後は立ち合いをして確認しましょう。地下室の解体工事後の活用方法によって整地の方法が変わります。
住宅を再建築する場合
住宅を再建築する場合、どのような仕上がりが必要なのか建築業者と解体業者の間で打ち合わせしてもらいます。建築業者も解体業者も同じであればその必要はありません。住宅を再建築する場合は基本的に、コンクリートガラやこぶし大の石・木片などの廃棄物を取り除いて綺麗に整地します。
駐車場として利用する場合
駐車場として今後利用する場合、個人用の駐車場であればコンクリート舗装、コインパーキングなど貸し出す場合はアスファルト舗装で仕上げるのが一般的です。月極利用の駐車場では砂利舗装の場合もあります。
整地方法 | 価格相場(㎡辺り) |
---|---|
コンクリート舗装 | 8,000円~12,000円 |
アスファルト舗装 | 5,000円~8,000円 |
砂利舗装 | 2,000円~5,000円 |
未定の場合
解体工事後の利用方法が未定の場合でも整地の必要があります。何もせずに放置しておくと、雑草が生えて管理が大変になるからです。整地方法は砂利舗装などの安価で工期が短く済む方法で良いでしょう。
5. 地上部分を再建築または更地にする
地上後は利用方法に合わせて再建築または更地にします。
地下室解体工事に伴う手続き
延べ床面積80㎡以上の建築物の解体工事を行う場合には注意が必要です。この場合、建設リサイクル法に関する届け出をしている業者しか工事が行えませんので、工事依頼前に確認をしておきましょう。下記のリンクに、建物全体の解体工事について書かれていますのでご参考になさってください。
関連記事:知っておくと安心!解体工事の流れや必要な手続き
上記リンク記事の補足を下記でご説明します。
工事着工前の手続き
工事着工の一週間前には、以下の書類を各都道府県へ届け出る必要があります。
・都道府県知事あての所定の様式で作成されている届出書
・分別や解体等の計画を記した別表
・工事をする場所がわかる案内図
・設計図や写真
・配置図
・工程表
ほとんどの場合、手続きは解体工事業者が代行してくれますが、念のためきちんと手続きがされているか確認をしておきましょう。
工事完了後の手続き
解体工事完了後、1ヶ月以内に建物の滅失登記申請をする必要があります。手続きをすることによって固定資産税の納付義務がなくなります。建物の滅失登記申請は、建物を解体した地域を管轄している地方法務局で手続きを行います。必要な書類は下記のとおりです。
・登記申請書
・解体業者から発行してもらった取毀し証明書
・解体業者の印鑑証明書及び資格証明書か商業登記簿謄本
・現場周辺の住宅地図
・申請書の写し
・土地家屋調査士に依頼するときには委任状と依頼人の印鑑証明書
ご自身での手続きが難しい場合は、土地家屋調査士に依頼することができます。依頼費用の価格相場は、3万円~5万円です。
地下室の解体工事費用を安く抑えるポイントは?
地下室の解体工事は高額ですが、価格を安く抑えるポイントがいくつかあります。
1. 役所への手続きは自分で行う
解体工事に伴う書類の提出をご自身で行うことで3万円~5万円の費用を安く抑えることができます。馴染みのない手続きですが、必要書類を事前に確認して揃えるだけですので頑張って挑戦してみましょう。
2. 自治体からの補助金がないか確認する
老朽家屋等の解体費用に対して補助金が支払われる場合があります。各自治体によって補助金の有無・条件等が異なりますので、お住まいの地域の自治体に問い合わせてみましょう。
3. 解体業者に直接依頼する
一般的に住宅メーカーを通すと仲介料が必要になるため、直接解体業者に依頼するほうが費用を抑えられる可能性があります。
4. 複数の業者に見積もり依頼をして費用を比較
解体業者によっても費用は異なります。複数の業者に見積もり依頼をして費用内訳や工事内容を十分説明してもらい、その中から納得出来る業者に解体工事を依頼しましょう。
地下室の埋め戻しが得意な業者を探そう
一般的には、住宅の建築を行う業者は地面より上部の工事を得意としており、地下の工事は土木や造成業者の得意分野になります。解体業者にとっても、地下部分の解体と埋め戻しは特殊工事となるため、不得意な業者もいます。不得意な業者に依頼すると、思わぬトラブルが生じる場合もあります。業者選びの段階で得意分野を見極め、できるだけ地下室の埋め戻し工事の実績が豊富で、得意な業者を探し出せるといいですね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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埋め戻し部分は沈下に注意
地下室を解体して埋め戻した部分は、周囲の地面とは地耐力が変わってしまう場合があります。地耐力に差がある状態で建物を建ててしまうと、将来不同沈下によって建物が傾いてしまうかもしれません。地盤改良の工事を行えば不同沈下は防ぐことができますので、その分の予算も確保しておきたいところです。建物が傾くと直すのはとても大変ですから、地盤調査はしっかり行い、必要な工事を検討しておきましょう。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)