壁にヒビ割れを見つけたら|対処法や補修工事の重要性を解説
ふと壁を見たときに気づかない間にひびが入っていたという経験はありませんか?壁のひびにも複数の要因があり、軽度な修復で済むものから緊急を要する重度のひびまで様々です。構造に問題がある場合は住宅の耐震性にもかかわりますので、壁に発生したひびの原因を突き止めて適切に対処していきましょう。今回は、壁のひびの原因と軽度から重度のひびの修復方法を解説します。まずはポイントをまとめてみました。
POINT この記事のポイント
・構造上の問題がひびの原因である場合は早急に対処が必要
・ひびの程度は軽度・中度・重度の3種類
・ひびの補修はDIYでできることもある
・業者に修理を依頼する場合は複数箇所から見積もりを取ること
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壁のどの部分にひびが入っていますか?
住宅は構造上、ある程度の遊び部分があります。地震があると構造部分も揺れるので、壁紙クロスなどに亀裂が入ってしまうのは致し方ないことなのですが、ひびを見つけたら不安になりますよね。壁のひびを発見した時にはどの部分から発生しているのか、目視で確認してみましょう。一般的には、上記のような開口部やつなぎ目部分からのひびの発生が多いです。
ほとんどの壁のひびは問題のない場合が多いですが、構造上の問題が原因である場合は早急に対処が必要です。ここでは軽度なひびの対処法から、構造に問題のある重度のひびまで対処法をご説明します。
1. 軽度なひび
軽度なひびとは、下記のようなひびのことを指します。
1-1. 壁紙クロスのひび
壁紙クロスは、新築後数年ではがれてくることが多く、ひびが発生することの多い場所でもあります。洗面所やキッチンなどの水廻りでは湿気によって壁紙クロスを張った際の糊がはがれやすくなり、ひびが発生します。壁紙クロスのひびは、放置しているとひび割れ部分から汚れや湿気が入り込み、下地材の腐食につながります。
壁紙クロスのひびは縦に長く発生する場合が多いので見つけると驚きますが、多くはつなぎ目にそってひびが発生しているだけですので糊で再接着をすれば直ります。壁紙クロス用の糊はホームセンターなどで簡単に手に入りますので、早めに修復しておくことで下地材を守ることができ見た目も良くなります。
2. 中度なひび
中度なひびは下記のような症状を指します。
2-1. 石膏ボードや下地材のひび
壁紙クロスのひびと同時に石膏ボードや下地材にまでひびが発生している場合があります。基礎部分ではないので緊急を要するわけではありませんが、いずれ基礎部分への影響が出てきますので、発見次第早めに修復をしておくことをおすすめします。
石膏ボードのひびは見えている箇所以上に広がっていることがありますので、壁紙クロスをカッターでめくり、ひびの範囲を確認する必要があります。ひびの範囲が分かったら、「石膏ボード下地補修用パテ」をひび部分に塗り込み乾燥させます。乾燥したらサンドペーパーで凹凸をなめらかにして、壁紙クロスを張り付けて完了です。
3. 重度なひび
重度なひびは下記のような症状を指します。
・ドアや窓サッシ、換気口周りのひび
・壁のつなぎ目以外に発生したひび
これらのひびは、住宅の構造部分に問題があるひびですので早急に修復作業が必要です。放置していると雨漏りの原因にもなります。また、地震のたびに徐々にひび割れが広がり、最悪の場合は大地震の際に住宅の倒壊につながる危険性が高くなります。
3-1. ドアや窓サッシ、換気口周りのひび
ドアや窓サッシ・換気口周りのひびは「開閉クラック」と呼ばれ、開閉のたびに加わる小さな揺れや振動などによってひびが発生するものです。
この開閉クラックは、石膏ボードや下地材のひびである場合が多いのですが、大地震のあとに発生したひびの場合は構造部分にひびが発生していることもありますので、業者さんにきちんと確認してもらうほうが安心です。石膏ボードや下地材のひびであれば、先ほどご紹介した「石膏ボード用下地補修パテ」を使用して補修することができます。
3-2. 壁のつなぎ目以外に発生したひび
壁のつなぎ目以外に発生したひびは最も緊急度が高く、早急に業者さんに診断してもらったうえで補修作業が必要です。つなぎ目などは軽い地震のたびに少しずつずれてひび割れの原因になりますが、つなぎ目がないのにひびがあるということは、地震や地盤沈下によって建物そのものに歪みが生じていると考えられます。
つなぎ目以外のひびで「幅が0.3mm以上、深さ0.5mm以上」のひびは「構造クラック」と呼ばれます。ひび割れ部分をパテで埋めて補修し、石膏ボードや壁紙クロスを張っていきます。ひび割れ部分以外にも歪みがないか、住宅全体の建具などを細かく見ていき、すべて調整しておくと安心です。ひび割れが地盤沈下によるものであった場合、近隣住宅にも同じような症状が起こっています。
地盤沈下した建物は家の傾きを調整する工事が必要ですが、費用は高額で約200万円~400万円かかることがあります。施工経験の多い専門業者の見積もりを複数もらって、工事内容の説明を受けて比較検討しましょう。
壁のひび補修にかかる費用目安
壁のひび補修にかかる費用目安は軽度から重度によって異なりますが、軽度の場合はDIYでの補修も可能なので材料代の数千円程度で済みます。石膏ボードなどの補修および壁紙クロスの内装工事などが必要で、なおかつ現状の壁紙クロスが廃番になっているなど、同じ物が手に入らない場合は補修費用が高くなることもあります。ご参考までに、過去に家仲間コムに寄せられた施工事例をご紹介します。
見積もり事例1. 震災で入ったクロスのひび修理
震災で入ったクロスのひび修理をご要望の方からの見積もり依頼で、費用目安は約1.8万円~6万円でした。
・縦30cm×横5cm程度のひびが2ヶ所
・既存の壁紙クロスが廃番になっている
・下地材の補修も必要
これらの状態からこの見積もり価格が提示されています。見積もり依頼をする際には現状の写真や壁紙クロスのメーカー、ひびのサイズなどを明記しておくとより詳細な見積もり価格を知ることができます。
見積もり事例2. 震災時のクロスひび割れ修理
こちらも同じく震災時のクロスひび割れ修理をご要望です。事例1のケースと異なる点は、大地震のため全居室の壁紙クロスの張替えおよび修復が必要な点です。
見積もり費用は約28万円~34万円で、同じ壁紙クロスの張替え修理であっても範囲が広くなると費用も上がります。大震災の影響であればこのような状態になるのも仕方ありませんが、小さなひびであっても早めに修理をしておくことで範囲が広がるのを防ぐことができ、結果的に修復費用を抑えることにつながります。
2年以内なら無料で直してもらえるかも
室内で見つけるひび割れのうち、壁紙どうしの貼り合わせ部分の隙間なら問題はありませんが、下地に引っ張られて一緒にひび割れている場合は、内部の構造に問題があるのかな?と、ちょっと心配になりますよね。
木材は乾燥収縮によっても多少の狂いが出るため、ほとんどはあまり気にする必要がないひび割れですが、見た目には気になりますよね。
もし新築後2年以内であれば、アフターサービスとして直してもらえることもありますので、早めに建てた会社に伝えておくといいでしょう。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
壁のひびを安く補修するには?
壁のひびを安く補修するには、ひびに気づいた時点でDIYでできるならご自身で補修を、難しければ業者に一括見積りをして費用を比較検討することです。内装工事であればまとめて他の部分を同時に依頼すれば人件費や出張費が一度で済みますので、一気に補修をしてもらえてお得です。
家仲間コムの見積もりサイトには約1000社の登録業者さんがいるので、基礎部分の大きなひびへの対応も可能です。住宅の耐震性にも関わりますので、大きなひびの場合は早急に補修をしておきましょう。匿名・無料で見積もり依頼ができるのでしつこい勧誘などもありません。
完全無料で利用できるので、お気軽にご利用ください。
アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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外壁のひび割れは早めに補修を
ひび割れは構造的にはあまり気にしなくてもいいものも多いですが、外壁がひび割れている場合は注意が必要です。
モルタルであれば窓のコーナー付近にひび割れが生じやすく、サイディングの場合は継ぎ目のシーリングと呼ばれる防水材が1年程度で切れてしまいます。
外壁のひび割れを放置してしまうと、雨漏りが発生したり、内部の構造材を腐らせてしまう可能性があります。
外壁塗装の予定があれば、ひび割れの箇所を確実に補修してもらえるよう、しっかりと依頼しましょう。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)