床の耐荷重はどれくらい|補強工事にかかる費用を解説

床の耐荷重はどれくらい?補強工事にかかる費用を解説

大きな水槽やたくさんの本・ピアノなどを自宅に設置する際に気になるのが「床の耐荷重」ではないでしょうか?特に木造住宅では、あまりに重いものを置くと床が抜けてしまわないか気になることもあります。今回は、200kg以上あるようなものを置く際の注意ポイントと、耐荷重を上げる床補強工事について解説します。後ほど詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。

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POINT この記事のポイント

・床の耐荷重は意外と余裕があるものの、ピアノや大きい水槽、大量の本などを保管する場合は、重量が重くなるため注意が必要
・重量のあるものを置くときに注意すべき2つのポイントは、「重さを分散させること」と「下地補強をすること」の2点
・床の補強工事にかかる費用は、約6帖の部屋で約14万円~20万円程度が相場

1. 耐荷重ってなに?

「耐荷重」とは、その物や場所が何kgまで耐えられるかという目安のことを言います。身近な例を挙げると、突っ張り棒はどこのご家庭にも一つはある便利グッズですが、パッケージには耐荷重何kgと明記されています。

耐荷重5kgの場合、5kgを超えて物を引っ掛けると落下してしまう恐れがあるので5kg以内に収めてくださいね、ということです。

2. 耐荷重が気になるケース

特に、木造住宅の場合だとコンクリートや鉄筋より耐久性が低いことが多いため、気になる方が多いようです。床の耐荷重が気になるものの代表例として、下記をご覧ください。

重い家具などの一例 重さ目安
アップライトピアノ(箱型のピアノ) 約200kg~300kg
グランドピアノ(奥行きのある大きなピアノ) 約250kg~400kg
90cm水槽 約200kg~210kg
120cm水槽 約260kg~270kg
本1000冊(1冊あたり約300gとして) 約300kg~(+本棚約30kg)


すべて200kgを超えていますね。本の場合は、文庫本のような小さくて薄いものから美術書などの大きくて厚みも重さもあるものなど、本の種類によって幅がありますが、1冊あたり約0.2kg~3kg程度が目安です。手に入りにくい美術書などは自宅で保管しておきたい方も多いですが、その重量はだいぶん重くなると考えておきましょう。

床の耐荷重は意外と余裕がある?

例えば家族四人で生活していた場合に床にかかる重さを計算してみましょう。一人平均60kgの体重があると仮定しても、4人だと240kgですよね。

人の重さに加えて、冷蔵庫やテレビ・ソファ・ベッドなど重量のある家具は多くありますが、これらの重さに耐えうる耐荷重は想定されていますので問題ありません。

重量のあるものを置くときに注意すべき2つのポイント

注意すべき点は、一ヶ所に200kgを超えるような家具などを置く場合です。200kg以上あるような重いものを1ヶ所に集中させてしまうと、その部分の床だけにその重量がかかってしまい、床のたわみの原因になります。古い木造住宅では床が抜けてしまうこともあり得ます。床面に点で重さがかからないようにするには下記の2つの方法があります。

1. 重さを分散させること

ピアノ用フラットボード|島村楽器

出典:ピアノ用フラットボード|島村楽器

大きな大理石のテーブルをイメージしてみてください。大理石は石なので木製のテーブルより重さがあります。

テーブルは4本脚で天板を支えますが、その重い大理石の天板を4つの点で支えるということになりますよね。そうすると天板の重さは4ヶ所に集中することになり、4ヶ所の床面だけに点で負担がかかります。これを「集中荷重」と言い、点で重量がかかると床のたわみの原因となります。

このような場合は、テーブルの下に厚手のマットを敷いて4ヶ所にかかる重量を分散させ集中荷重にならないように工夫をします。ピアノでは集中荷重を防止するために専用のマットが販売されており、遮音・防音効果も高められます。新しい住宅では、建築基準法が定める通りに重量が分散するような構造になっていますが、古い昔の住宅では集中荷重にならないようご注意ください。

2. 下地補強をする

築年数が経過した木造住宅では床の強度に不安があるため、重量のあるものを設置する場合は下地補強をしておくほうが安心です。特に90cmを超える大きな水槽を置く場合は、古い木造住宅の床補強は重要です。床が抜ける恐れがあり、万が一床が抜けてしまった場合には水漏れも起こりますので被害が大きくなります。

床の下地補強の方法には、主に下記の4つがあります。

・根太を増やす
・根太を太くする
・床材を厚くする
・床束を設置する


以下では、床の構造を簡単に説明します。

・根太(ねだ)
床材を張る角材のことを言い、床材を支える大切な役割があります。一般的に根太は約30cmまたは45cm間隔で設置されています。

・床束(ゆかづか)
大引(おおびき)を支えるための柱のようなものです。昔は木製でしたが、最近の住宅では高さの調整が出来る鋼製や樹脂製の床束がよく採用されています。

では、順番に詳しく見ていきましょう。

2-1. 根太を増やす

一般的に根太は約35cmまたは45cm間隔で設置されていますが、重量のある物の耐荷重に耐えられるよう、根太を増やして補強する方法があります。床材をはがさなければいけませんが、根太を設置するだけですので比較的簡単な工事で済みます。

2-2. 根太を太くする

根太そのものを太くして耐荷重に耐えられるよう補強する方法もあります。既存の根太を撤去する工事が追加されます。

監修者コメント
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床補強のついでにやりたい工事

床補強のために床材の張り替えをすることになったら、ぜひついでに行えるリフォームを考えてみましょう。
床暖房は、床材を剥がさないと工事ができないため、一緒にできたら無駄がないですね。その場合、重量物が載るエリアには暖房パネルは配置できませんのでご注意ください。
階下への遮音対策も、床の下地に遮音シートをはさんだり、遮音性能の高い床材を選ぶなどで行うことができます。
もしフローリング材を選ぶなら、ペット対応、ワックスフリーなど、居住性を向上させる性能を備えた商品も多くあります。
ぜひこの機会に、お部屋を快適な空間にチェンジしてみませんか?

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

2-3. 床材を厚くする

床下の構造部分は触らずに、床材そのものを厚くする方法です。既存の床材が合板フローリングの場合、厚みは約12mmです。これを無垢材フローリングに交換すると厚みは約15mmとなり、耐荷重が上がります。床材を厚くすると扉に干渉して開閉に影響が出る可能性も考えられますが、ドアの下部をカットするなどの対応策があります。何より無垢材の床はサラサラとして快適ですよ!

関連記事:床がベタベタする原因はどこにある|お手入れ方法と年中サラサラな床材3選

2-4. 床束を設置する

床束は床下にもぐって設置することができる床下補強の方法です。床材をはがさず施工できるので、戸建住宅1階部分の補強に採用されることも少なくありません。

床の耐荷重の計算方法

耐荷重とは、すなわちものが耐えられる重さのことです。例えば、耐荷重60kgと書いてある場合は、60kgの重さまでなら耐えられることを意味します。ここからは、木材・鉄骨梁それぞれの耐荷重の計算方法について解説します。

木材の耐荷重の計算方法

木材にどの程度の重量が加わるとたわみが生じるのか、耐荷重を求める計算式は、以下のとおりです。

y=w×(L³)÷(4×E×b×h³)
y=木材のたわみ幅(cm)
W=荷重の重さ(Kg)
L=支点から支点までの寸法(cm)
E=ヤング率

※ヤング率は木材により異なりますが、ホワイトウッドやSPF材を使用する場合は75000kgf/cmを当てはめます。

b=木材の幅(cm)
h=木材の高さ(cm)

一見するとむずかしい式に感じますが、記号が意味する内容を把握すると理解しやすいと思います。アルファベットを言葉に置き換えると以下のようになります。

木材のたわみ幅(cm)=重さ(kg)×寸法(cm)の3乗÷(4×ヤング率(kgf/cm)×木材の幅(cm)×木材の高さ(cm)の3乗」

グランドピアノや大量の本が入った本棚など重い家具を設置する場合には、万が一に備えて、安全率(2)を掛けた以下の式になります。 Y=2×W×(L³)÷(4×E×b×h³) たわみが大きければ大きいほど、物の重さに床が耐えられないことを表します。

鉄骨梁の耐荷重の計算方法

鉄骨梁の耐荷重の計算式は以下です。

M=PL/4
σ=M/Z
M=σZ
σZ=PL/4
P=4σZ/L

M=曲げモーメント
P=耐荷重
L=梁の長さ(m)

σ=曲げ応力度
Z=断面係数

「P=耐荷重」を求めるわけですから、逆算していきます。計算をすると、「許容応用度」すなわち限界点が求められます。この場合、例えば計算結果が3tであった場合、限界ぎりぎりの3tのものを載せても計算上は耐えられることになります。しかし、構造計算をする際にはある程度の余裕を見越して計算するのが一般的です。

監修者コメント
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重いものはなるべく1階へ

床を補強すれば、構造的には重量物はどこでも置くことは可能です。しかし重いものを上階に置くと家の重心が高くなってしまい、地震時の負荷がより大きくなってしまいます。
耐震補強工事の一つに「重い瓦屋根を撤去して軽い金属屋根に葺き替える」という方法がありますが、これには家の重心をできるだけ低い位置に抑え、地震の負荷を減らす効果があります。
家の中に置く荷物も同様に、できるだけ家の低い位置(なるべく1階へ)に置くことが、地震対策にもなるのです。

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

床の耐荷重をアップしたい!補強工事にかかる費用

新築住宅では床の耐荷重を気にすることはあまりありませんが、古い木造住宅では補強しておくほうが安心です。床の耐荷重を上げるために床に補強工事を行う場合、おおよそ5万円からが目安です。床材を厚くするために無垢材フローリングに張り替える場合は、約6帖の部屋で約14万円~20万円見ておく方が良いでしょう。

床をはがす場合は、既存床材の撤去および廃棄処分費用、新規張り替えなどの費用が追加されます。新しく増やす根太や床束分の費用もプラスされますが、どの程度の補強を行うかによって費用が異なりますので、現地訪問してもらって見積もりを依頼して確認してみましょう。

床の耐荷重を上げる工事を依頼するには?

床の耐荷重を上げる工事を依頼するには、一括見積りが便利です。現状の耐荷重がどれほどなのか、実際に訪問して確認してもらうと安心です。住宅の築年数や構造、設置する物によっては補強が必要ないケースもあります。

家仲間コムの見積もりサイトには約1000社の登録業者さんがいて、いろんな住宅での施工経験が豊富です。また、匿名・無料で見積もり依頼ができるのでしつこい勧誘などもありません。

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監修者プロフィール
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一級建築士

高橋 みちる (たかはし みちる)

WEBサイト


アールイーデザイン一級建築士事務所代表。

住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。

著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)

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noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note

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家仲間コム編集部

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利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。

執筆者プロフィール
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大永 和弘 (おおなが かずひろ)


大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。

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