アスベスト調査の内容と費用｜家屋の取り壊し工事で役立つ知識を紹介
古い建物を取り壊す際にはアスベスト使用の有無を調べる調査が必要です。なぜなら、建物の老朽化や空き家問題などで増加している建物の取り壊しやリフォームにはアスベスト調査が必要不可欠になってきているためです。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・アスベストを使用した建物の取り壊しには、アスベスト使用有無の事前調査および作業の届出等が義務付けられている
・アスベストの調査費用は、おおよそ3万〜8万円ほど
・アスベストは発じん性によって３段階に分類され、レベル1・2は調査が必要になるため、調査費用および除去費用が発生する
アスベスト調査は法律で義務付けられています
アスベストを使用した建物を取り壊す際には、作業員の「アスベストばく露防止」や周辺環境への「アスベスト粉じん飛散防止」の観点から、アスベスト使用有無の事前調査および作業の届出等が義務付けられています。また、調査の結果アスベスト含有と診断された場合は解体工事が必要で、解体により生じる廃棄物は適切に処理することも義務付けられています。
参照：アスベスト対策Q&A｜国土交通省
アスベストは、多くの健康被害が報告されため平成18年改定の建築基準法にて使用が制限されることになりました。ですが、平成18年以前の建物ではアスベストを使用していることが多く、アスベスト使用の有無が不明なままでは増改築・大規模修繕・取り壊し工事等ができません。
また、アスベスト使用の有無が不明な場合は通常はアスベストがあるものと評価され、特に不動産取引の際は建物の資産価値が下がることにつながります。
アスベスト調査費用はどれぐらい？
さて、法律で義務付けられているとはいえ気になるアスベストの調査費用ですが、アスベスト調査は専門機関が行うことも定められています。アスベスト調査費用は調査会社や地域によって異なります。ここでは一例として大阪市のアスベスト調査費用をご紹介しますのでご参考になさってください。
| アスベスト調査内容 | 価格 |
|---|---|
| 定性分析（飛散性建材） | 40,000円（1検体あたり） |
| 定性分析（非飛散性建材） | 80,000円（1検体あたり） |
| 定量分析 | 40,000円（1検体あたり） |
| 空気粉じん中のアスベスト検査 | 30,000円（採取場所1地点あたり） |
参照：アスベスト調査費用｜大阪市
上記の調査費用は大阪市の住民及び法人等の方が検査を依頼された場合であり、大阪市以外の方は3割増となりますのでご注意ください。アスベストに関する自治体サイトへのリンク集もご参照ください。
アスベストの分類により調査費用が異なります
アスベストは発じん性によって3段階に分類されます。発じん性とは、外力を与えた際に飛散する度合いのことです。飛散しやすいものほどレベルの数値が低くなります。
| レベル | 基準 | 対応 |
|---|---|---|
| レベル1 | 発じん性が著しく高い | 成分分析が必要 |
| レベル2 | 発じん性が高い | 成分分析が必要 |
| レベル3 | 発じん性が比較的低い | 事前調査を行わずアスベスト含有建材として処分可能 |
レベル1、2は調査が必要ですので、調査費用および除去費用もかかってきますが、レベル3の場合は比較的危険性が低いため、解体業者が手作業で解体を行う場合もあります。その場合、建物の解体費用にアスベストの解体費用が追加されます。
例えば屋根材のアスベスト解体費用の価格相場は20万円～30万円程度かかります。その他の場所にもアスベストが使用されている場合は、さらに追加費用が発生します。
関連記事：アスベスト製の天井は要注意！
アスベストの調査をしよう
現在は製造が禁止されているアスベスト製品ですが、平成18年以前に建てられた家には、アスベストが含まれる建材が使われている可能性があります。リフォームや解体工事によってこれらのアスベストが飛散する恐れがあるため、一定規模以上の工事を行う場合は含有の有無の調査報告が義務付けられています。住まう人はもちろん、そこで働く人にも健康被害のないように、しっかりと対策を講じたいですね。
監修者：高橋 みちる（一級建築士）
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか？」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」（自由国民社、2020年7月発売）
【保有資格】
- 一級建築士（登録番号：第331817号）
- 既存住宅状況調査技術者（証明書番号：第02201400260号）
- 住宅性能評価員（終了証番号：第02170424号）
- インテリアコーディネーター（登録番号：011961A）
- 福祉住環境コーディネーター2級（証書番号：05201851）
- 震災建築物応急危険度判定士（認定番号：730220552）
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所：代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構：検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社：リフォームプランナー
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高橋みちる｜リフォームコンサルタント｜note
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大永 和弘 （おおなが かずひろ）
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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アスベストの健康被害とは
アスベストとは極めて細い繊維状の天然鉱物で、これを吸い込むことで肺がんや中皮腫を発症・死亡につながるリスクが確認されています。平成18年までに建てられた家にはアスベストを含む材料が使われている可能性がありますが、形態が安定していて飛散しなければ健康上に影響はありません。しかしリフォームなどで解体工事を行うと、壊す際にアスベストが飛散する恐れがあるため、飛散防止対策を講じる必要があるのです。
監修者：高橋 みちる（一級建築士）