エアコン室外機の設置場所は6パターン|設置時の注意点とは?
新築時に忘れがちなエアコン室外機の設置場所。家を建てた後に失敗しないためにも、設計段階からよく考えておくことが大切です。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・エアコン室外機の設置場所に求められる条件は、「室外機が水平に設置できる場所」「直射日光に当たらず雨が直接当たりにくい場所」「室内機と室外機の距離が近い場所」「室外機の周りの通気性が良い場所」の4つ
・エアコン室外機の設置場所は、主に「直置き・地面置き(標準工事)」「立ちおろし」「屋根置き」「天吊り」「壁掛け」「二段置き」の6つ
・エアコン室外機の設置にかかる費用は、約14,000円~約18,000円
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エアコン室外機の設置場所に求められる4つの条件
エアコン室外機は、エアコンの性能を発揮させるために設置場所はよく考えておく必要があります。エアコン室外機の設置場所に求められる最低限必要な条件は、上記の4つです。
1. 室外機が水平に設置できる場所
エアコン室外機は、中のファンが回転して空気を循環させるため常に振動しています。振動が大きいと外壁や床を通じて家の中にまで伝わり、微細な振動であっても体調不良を引き起こす原因となります。エアコン室外機を正常に機能させ、振動をできるだけ抑えるためにも水平な場所へ設置することが大切です。
出典:エアコン「エオリア」|Panasonic
また、エアコン室外機は機種にもよりますが、一つあたり約20kg~50kgほどの重量があります。水平で地盤もしっかりした場所でないと倒れてしまう危険性もあります。水平な場所への設置が難しい場合は、エアコン室外機用の架台を使用して水平になるように設置します。
2. 直射日光に当たらず雨が直接当たりにくい場所
エアコン室外機に直射日光が当たると、内部の温度が上昇し消費電力が上がります。内部に熱が溜まると熱交換機へ負荷がかかり故障につながりますので、直射日光が当たらない場所へ設置するか、室外機カバーなどで日よけをしておきましょう。
また、雨に当たる場所も避けておく方が安心です。エアコン室外機は屋外への設置が前提で作られていて耐水性は高いのですが、長時間雨に当たることで錆びてしまうことがあります。できるだけ雨に当たり続けるような場所は避けておくほうがエアコン室外機が長持ちします。
3. 室内機と室外機の距離が近い場所
エアコンの室内機と室外機は配管でつないでいます。例えば冷房運転の際には、室外機側で作られた冷たい空気が配管を通して室内機へ流れ、室内へ冷気を送ります。
エアコン室内機と室外機が離れてしまうと、冷たい空気が配管を通っている間に暖まり、エアコン効率が悪くなり消費電力も大きくなります。
エアコン室内機と室外機を離して設置する場合には、追加でフロンガスを充填したり配管を延長するなどの工事が別途発生しますので、室内機と室外機はできるだけ近い距離に設置しておくほうが効率的です。
4. 室外機の周りの通気性が良い場所
エアコン室外機は、背面から空気を吸い込んで熱交換機を通して正面から空気を排出します。そのため、エアコン室外機の周囲には必ず通気できるスペースを確保する必要があります。Panasonicさんでは、エアコン室外機の周囲に下記のスペースを確保するよう推奨しています。
出典:エアコン室外機の設置スペース|Panasonic
室外機の箇所 | 推奨スペース |
---|---|
背面 | 50mm以上 |
左右 | 100mm以上 (片方はサービススペースとして300mm以上) |
前面 | 200mm以上 |
エアコン室外機の設置場所6パターン
エアコン室外機の設置場所は主に下記の6パターンがあります。エアコンの設置業者さんでは、地面に直接置く「直置き」や「地面置き」を標準設置工事として工事費用に含んでいますが、これら以外はすべて別途費用がかかります。
それぞれの内容と設置にかかる費用目安を見ていきましょう。費用はいずれもエアコン室外機1台分で、設置場所や環境などにより別途費用が追加されることがありますので、現地訪問見積りをしてもらうことをおすすめします。
1. 直置き・地面置き(標準工事)
エアコンの設置工事で最も一般的な方法が「直置き」「地面置き」です。戸建住宅では1階の外構や2階のベランダなどに設置し、集合住宅では各部屋に隣接したベランダやバルコニーに設置します。室内機のすぐ外側に室外機を設置できるので、エアコン効率も上がり配管なども延長せずに済みます。
新築の集合住宅では、基本的にベランダに面する壁にエアコン設置のための配管用穴が開いています。
2. 立ちおろし
「立ちおろし」は1階から配管を延長して2階以上の部屋の室内機と接続する方法です。エアコンを設置する部屋にベランダがない場合や、ベランダが狭小スペースであるなどの場合はこの方法が選ばれることが多いです。
配管の延長分に加えて、延長する配管が10mを超えるとフロンガスを追加で充填する必要があり、費用が上がります。
・「立ちおろし」の設置費用目安:約14,000円~
・配管延長費用目安:約0.3万円~/mあたり
・フロンガスの充填費用目安:約14,000円~
3. 屋根置き
「屋根置き」は、2階のエアコン室外機を1階の屋根に設置する方法です。屋根は斜めになっていますので、エアコン室外機を水平に保つために専用の架台を設置します。
・「屋根置き」の設置費用目安:約15,000円~
「屋根置き」の注意点は、直射日光を受け雨も当たりっぱなしになる点です。エアコン室外機の早期劣化とエアコン効率が落ちてしまうことは想定しておく必要があります。
4. 天吊り
「天吊り」は、「天井吊り下げ」とも呼ばれ、ベランダの天井からエアコン室外機を吊るす設置方法です。ベランダのスペースが狭い場合や、ベランダを広く使用したい場合に採用される設置方法で、昔の集合住宅ではよく見られる設置方法です。
・「天吊り」の設置費用目安:約15,000円~
直射日光が当たりやすい点と、点検作業時に別途追加費用がかかることがあります。
5. 壁掛け
「壁掛け」は外壁にエアコン室外機を設置する方法です。ベランダがない場合やベランダスペースを広く確保しておきたい場合は「壁掛け」方式にすることがあります。
関連記事:外壁の穴あけは簡単?穴のサイズ別の注意点やドリルの種類
専用架台を使って設置しますが、外壁に室外機があるため目立ちますので外壁の色によっては景観を損ないます。
関連記事:外壁の色を選ぶには|失敗しない3つのコツ
・「壁掛け」の設置費用目安:約15,000円~
設置場所の高さによっては足場を設置する必要があり、その場合は約15万円ほど追加でかかることがあります。
6. 二段置き
「二段置き」は、一台分の設置スペースに、専用架台を使用してエアコン室外機を二段重ねて設置する方法です。設置スペースが一台分で済むので省スペースになります。
・「二段置き」の設置費用目安:約18,000円~
一段目の通気スペースを確保するために二段目との空間を開けておく方がエアコン効率が上がります。

エアコンは温度差が大きいほど効率が悪くなる
エアコンは室内と外気の温度差を利用して熱を汲み取るヒートポンプという仕組みを利用しています、これは温度差が大きくなるほど電気代がかかるのが特徴です。 ヒートポンプの本体は室外機の方なので、電気代を抑えるためには夏は涼しく、冬は暖かい場所に設置したいところです。 庇のある風通しの良い南側は、夏は庇が直射日光を遮るため涼しく、冬は低い太陽からの優しい日射であたたかく、おすすめの設置場所です。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
エアコン室外機の設置場所まとめ
エアコン室外機の設置場所は設計時点でよく考えておかないと、いざ設置しようと思った時に追加費用がかかったり、景観を損なうような場所への設置を余儀なくされることがあります。
エアコン室外機の設置場所は、標準工事以外はメンテナンスの際にも手間がかかりますので一般的なメンテナンス費用よりも高くなることも想定しておかなければいけません。現状、標準工事内におさまる場所への設置が難しい場合は「窓用エアコン」を設置する方法もあり、費用も抑えられます。
関連記事:窓用エアコンのメリット・デメリット|電気代を抑えるポイントは?
エアコン室外機の設置場所で悩んだら?
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note

利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。

大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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室外機はできるだけ地面に置いた方がいい
室外機は大きく通路の邪魔にもなるので、壁に固定してしまおうか?などと思われるかもしれません。 しかし室外機は小さいものでも3kg以上あり、さらに運転中は荷重が増しますし、地震によって落下などの危険性もあります。また、壁・屋根・バルコニーなどに設置した場合は、建物のメンテナンスの際に移設や脱着などの工事費がかかる場合もあります。 室外機は設置条件の許す限り、できるだけ地面に直接置きたいところです。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)