助成金支給対象の防音工事リフォーム|条件ごとの手続き方法を解説
ご自宅周辺の環境による騒音に悩まされている方は少なくありません。例えば、幹線道路や飛行場・自衛隊の基地などがある場合です。実は、こういった環境にお住まいの方には国から防音工事に対する助成金が支給される場合があるのです。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・空港や幹線道路のほか自衛隊や在日米軍の飛行場周辺にお住まいの方には、防音工事の助成金が支給される場合がある
・助成金受給には地域や建物の条件などが定められており、各自治体によって助成額なども異なるため、まずはお住まいの地域の防音工事助成金について自治体に問い合わせてみることがおすすめ
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助成金対象の防音工事の種類
初めに、防音工事にもいろいろ種類がありますが下記のような防音工事は助成金支給の対象外となります。
・子供の声や足音対策など生活音のための防音工事
・ピアノなど楽器を楽しむための防音工事
・ホームシアターなどで映画を楽しむための防音工事
・ペットの泣き声対策としての防音工事
関連記事:防音リフォーム/ご自身で出来る防音対策と業者に依頼した場合の費用相場
では、どのような地域にお住まいの場合に防音工事の助成金が支給されるのでしょうか。周辺環境や助成金の内容などと合わせて詳しく解説します。
1. 空港周辺にお住まいの方
空港周辺で第1種区域として指定された区域内の住宅には防音工事費用の一部または全部に対して助成金が支給されます。
対象となる防音工事内容
対象となる防音工事の内容は下記の通りです。
・区域を指定した日より前から存在していた住宅の防音工事
・防音工事から一定期間を経過したエアコン、換気装置の交換工事
では、一例として大阪国際空港について見てみましょう。大阪国際空港では環境対策事業の一環として昭和42年に「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、住宅の防音工事に係る費用助成が開始されています。
申込内容と期限
助成金を受給するには申し込みが必要です。平成30年度の場合は下記のスケジュールでした。
内容 | 期限 |
---|---|
申込受付 | 平成30年3月1日より |
申込期限 | 平成30年10月31日まで(必着) |
工事実施後の交付申請 | 平成30年12月28日まで(必着) |
助成金受給までの手続きの流れ
助成金受給までの手続きの流れは上記の通りです。対象となる地域にお住まいの方は、いったん工事費用を業者へ支払った後、関西エアポート株式会社に対して助成金請求をして助成金を受け取る、という流れになっています。
参照:住宅の防音工事に係る費用助成|関西エアポート株式会社
2. 幹線道路周辺にお住まいの方
幹線道路とは、全国的・地域的あるいは都市内において、骨格的な道路網を形成する道路のことを指します。高速道路も幹線道路に含まれますので、日中・深夜を問わず走る大型トラックや長距離バスなどが通ったり交通量も多く大きな騒音となります。幹線道路沿いにお住まいの方は、24時間騒音に悩まされている方も多く早急に防音対策をしたいことでしょう。
では、東京都建設局を例に見てみましょう。東京都では昭和55年に制定された「幹線道路の沿道の整備に関する法律」に基づき、防音工事助成が開始されました。条件を満たす住宅の防音工事を行う場合その工事費の一部について東京都から助成金を受けることができます。
対象エリア
対象エリアは下記の通りです。
・沿道整備道路として指定された道路の沿道
・防音構造に関する条例が特別区により定められた区域内であること
平成25年時点では、「環状七号線」「環状八号線」「中原街道」「笹目通り」が対象区域とされています。
対象となる建物
防音工事を受けられる建物については下記を満たしていることが条件です。
対象となる建物 |
---|
・特別区が定めた「防音構造に関する条例」の適用区域内に建っている住宅でこの条例が施行された日以前からあるもの |
・道路交通騒音の大きさが、夜間65デシベル以上 または昼間70デシベル以上ある居室を有するもの |
対象外となる建物 |
---|
建替え工事は除く、新築する建物 |
すでに防音工事助成を受けたことのある建物 |
すでに防音構造化されていると判断される建物 |
助成金の金額
助成金の金額は、東京都が審査した工事費用の3/4を限度額としています。助成額を超えた分は自己負担となります。
助成金受給までの手続きの流れ
助成金受給までの手続きの流れは上記の通りです。手順⑤の「助成契約の締結」まで工事の着手はできませんのでご注意ください。
参照:防音工事助成|東京都建設局
3. 自衛隊や在日米軍の飛行場周辺にお住まいの方
防衛省の特別機関である航空自衛隊の基地は全国に約74ヶ所もあり、在日米軍基地も含めるとさらに数が増えます。
参照:
基地エリア一覧|航空自衛隊
在日米軍施設・区域の状況|防衛省
では、これらの区域にお住まいの方に対する防音工事の助成金について、北関東防衛局を一例に見てみましょう。
対象となる住宅防音工事
換気扇、冷暖房機、防音天井・壁及び防音サッシの設置等の防音工事に対して助成金が支払われます。
防音工事の対象となる住宅
防音工事の対象となる住宅は、各飛行場毎・種類別に定められた建築期日までに建てられた住宅が対象となります。
参照:住宅防音工事の助成|北関東防衛局
助成金の金額
助成金は原則100%支給されます。
助成金受給までの手続きの流れ
助成金受給までの手続きの流れは表の通りです。ひとつひとつのステップを押さえておきましょう。
自分の家は助成金受給の条件に当てはまる?
助成金受給には地域や建物の条件などが定められており、各自治体によって異なります。助成金の上限金額や申し込み期限などと合わせて、お住まいの地域の防音工事助成金については自治体へ問い合わせてみましょう。
防音対策に有効な工事とは
付近の騒音に悩まれているけど、防音工事の助成金対象ではなかった…。という場合は、残念ですが、ご自身で防音対策を行うしかありません。ならば、コストパフォーマンスを考えながら工事を行いたいですよね。外部の音を一番伝えやすい弱点となっているのは、窓です。外部の音が気になる方は、まずは内窓をつけて二重サッシにするだけでも、防音効果を実感することができます。内窓設置は断熱効果も高く、補助金を受けられる制度も多くありますから、ぜひご検討されてみてくださいね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
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飛行場や道路などの騒音はストレスにもなりますが、もし防音工事の助成の対象となるならば、とてもありがたいですね。対象エリアにお住まいの方は、ご自宅が助成対象になるかどうか、対象工事にはどのようなものがあるのか、ぜひ知っておきたいですね。今は対象であっても、建て替えると対象外になってしまう場合もあります。ぜひリフォームで助成金を受け取りながら、おトクに快適に、お住まいを長持ちさせてくださいね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)