【自宅にスロープを設置する】勾配の測り方とポイントを徹底解説
近年、バリアフリー住宅の設備のひとつとして「玄関スロープ」を設置する家庭が増えています。玄関スロープがあると階段の昇り降りが必要なくなることから、ベビーカーや車椅子の移動が楽になります。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・玄関スロープを設置する際は勾配に注意が必要。勾配はバリアフリー法で1/12以内と定められている
・玄関スロープは、実際に利用する人が最も安全に使いやすい勾配にすることが大切
・玄関スロープ設置にかかる費用目安は7万円~20万円程度
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スロープ設置の際の注意点
玄関スロープを設置する際は勾配に注意が必要です。勾配とは、スロープの傾斜の程度のことを言います。勾配がきついと昇り降りが大変になり危険を伴います。かといって緩やかな勾配にすると、移動にかかる時間が長くなり体力を消耗します。
勾配は、高齢者や車椅子利用者が安全・円滑に移動できるようにするために、バリアフリー法の「建築物移動等円滑化誘導基準」で「1/12以内」と定められています。
スロープの勾配の測り方
スロープの勾配は分数で表します。勾配が1/12以内というのはどういうことかというと【高さ1cmを12cmかけて昇り降りすること】を意味します。角度でいうと5度以下になります。各勾配の角度、高さ、必要なスロープの長さを一覧にしました。
高さが高くなるにつれ、スロープに必要な長さも長くなります。ご自宅の環境によっては設置が難しい場合もありますので、ご利用される方と相談して勾配を決めましょう。
スロープ勾配の一例
1/12勾配と1/8勾配の例を見ながら、実際に利用した場合をシミュレーションしてみましょう。
1/12勾配
これは、バリアフリー法の基準値である1/12勾配で、前方に12cm進んだ時に高低差が1cm生まれる角度の勾配です。角度は4.8度です。公共施設や病院などはこの勾配となっています。
・昇り
1/12勾配は、自力で車椅子を漕いで上がることもできますが少し体力が必要です。介助者がいれば楽に上がることができます。
・下り
自力で車椅子をこいで下りる場合は、足が多少使えればより安心して利用できます。介助者が車椅子を押す場合は、前向きのままで降りることが可能です。
1/8勾配
1/8勾配は、前方に8cm進んだ時に高低差が1cm生まれる角度の勾配です。角度は7.1度です。
・昇り
1/8勾配は、自力で車椅子を漕いで上がることが難しくなります。介助者がいれば昇ることが出来ますが、距離が長くなると体力が必要になります。
・下り
自力で車椅子を漕いで降りるのは危険です。介助者が車椅子を押す場合は、安全のため後ろ向きで降ります。
玄関スロープ設置の際は利用者目線で
一見緩やかに見える勾配でも、実際に車椅子を利用してみると意外と急な勾配に感じることはよくあります。玄関スロープを設置する際は、実際に利用する人が最も安全に使いやすい勾配にすることが大切です。
玄関スロープ設置にかかる費用目安
玄関スロープ設置にかかる費用目安は7万円~20万円です。スロープに使用する素材やスロープの規模によって費用が変わってきます。スロープに使用する素材は、滑りにくい素材であることが必須です。雨に濡れても滑らないよう滑り止め加工もしておきましょう。
関連記事:高齢者専用の玄関リフォームで不安を解消!車椅子や歩行器でも安心できる6つのリフォームポイント
スロープは簡易なものでも、あるだけで便利
スロープといえば、外部ならコンクリートでしっかりと、屋内なら床を剥がして下地からやり直し…なんて工事ができれば最高ですが、しっかりつくるほど費用も上がってしまいます。そこまでやらなくても…と二の足を踏んでいる方には、もっと簡易な方法でスロープをつくることもできます。たとえば足場板を斜めに固定するだけでも、段差を乗り越えるのが難しい方には、大変便利な通路になります。スロープのつくり方はいろいろありますから、まずはプロに相談されてみてはいかがでしょうか。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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大事なのは、「設置できること」
スロープの勾配は、公共の建築物などでは屋内では1/12以下、屋外では1/15以下と法律で定められています。どうりで、街中のスロープは緩やかなものが多いですよね。しかし、これらの勾配で家の段差も解消しようとすると、距離を確保するのが難しいという問題にぶつかります。だからといってスロープをあきらめるのではなく、多少急勾配でも大丈夫か?と使い勝手を確認しながら、設置できる方法を考えてみてください。ぜひ、自分の体の状態に合ったスロープを探ってみてくださいね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)