ホームエレベーターを設置するには|費用相場と施工事例

ホームエレベーターを設置するには|費用相場と施工事例

日々の移動や荷物の運搬などに便利なホームエレベーター。ホームエレベーターには興味があるけれど、結局費用はどれくらいかかるの?という疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。今回はホームエレベーターにかかる費用を徹底的に調べてみました。後ほど詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。

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POINT この記事のポイント

・ホームエレベーターのメリットは、「昇降が楽になる」「同時に複数人が移動できる」「後付けが可能」など
・ホームエレベーターのデメリットは、「何かと費用がかかる」「スペースの確保が必要」「災害時には使えない」など
・ホームエレベーターの設置には、初期費用として3,300,000円~5,840,000円ほど、ランニングコスト(1年辺り)として78,280円~96,320円ほどかかる

ホームエレベーターの本体価格と設置工事費用

ホームエレベーター

ホームエレベーターの本体価格はメーカーの希望小売り価格を参照にしました。価格には設置工事費用も含まれています。まず、設置する建物の構造は木造か鉄骨・RCなのか、エレベーターは油圧式かロープ式なのかという2点で大まかに区別されます。順に見ていきましょう。

【建物の構造】
・木造
土台、柱、梁、桁などの主要構造部材が木材で作られている建物の事を指します。今の民家の多くは木造となっています。

・鉄骨・RC
主要構造部材が鉄骨や鉄筋コンクリートで作られている建物の事を指します。10階以上など強度が必要な建物に見られる造りです。

【エレベーターの種類】
・油圧式
エレベータールームを下からジャッキで直接支えて作動油の圧力を制御して昇降させる方式。

・ロープ式
ドラム型の巻き取り装置でワイヤーロープを巻き取り、巻き戻したりしてエレベータールームを昇降させる方式。

建物とエレベーターの種類別費用目安

建物とエレベーターの種類別費用目安グラフ

木造/油圧式 274万円~474万円
木造/ロープ式 303万円~433万円
鉄骨・RC/油圧式 270万円~459万円
鉄骨・RC/ロープ式 293万円~413万円

油圧式の方が費用帯に幅があることが分かります。また木造と鉄骨・RCでの費用の差はそれほどないことも見て取ることができます。

申請費用

エレベーターを式に設置する場合には、エレベーター設置の確認申請を提出する必要があります。また増改築工事で増改築部分が10㎡を超える場合や、防火地域に建物がある場合は建物の確認申請も必要になってきます。これらの設計や現地調査も含めて10万円前後を計上しておきましょう。

エレベーター設置のための各種申請費用:10万円前後

その他:自立鉄塔

自立鉄塔の構造図

エレベーターの設置にはある程度の強度が必要ですが、強度がなくても設置する方法があります。それがエレベーターの自立鉄塔を利用する方法です。建物の調査の結果、強度が足りないことが判明した場合にはこの自立鉄塔を利用します。費用はエレベーターの価格に追加して50~100万円程になります。

自立鉄塔の費用:50~100万円

監修者コメント
監修者画像

エレベーターは容積率に不算入

エレベーターを設置したいけど、間取り的に難しい…
増築すれば設置できそうだけど、新築時には容積率を目いっぱいで建ててしまったから無理かしら…
とお悩みの方には朗報です。平成26年から、エレベーターの昇降部分の床面積が、容積率に不算入になりました。
母屋の間取りを変えなくても、隣に増築という形でエレベーターを設置することも可能です。その場合は建ぺい率には影響しますので、気になる方はぜひ一度プロにご相談なさってみてください。

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

2. ホームエレベーターのランニングコスト

ホームエレベーターのランニングコスト

ホームエレベーターを設置した後は電気代などの維持費が月々かかってきます。項目ごとに分けてどれほどの費用が掛かるのか調べてみました。

電気代

エレベーターを利用し始めるとまずは気になってくるのが電気代ではないでしょうか。意外にもエレベーターの電気代はそれほど高くはなく、月440円~610円ほどという試算が出ています。年に換算すると5280円~7320円なので、これくらいであればあまり気にせず利用することが出来そうです。

エレベーターにかかる年間の電気代:5280円~7320円程

法定点検

エレベーターを設置すると所有者は定期点検を受ける義務が生じます(建築基準法第12条の3項)
これらの定期点検は法律を遵守する為だけでなく、エレベーターの安全を守るためにも必要なことと言えます。費用は4~7万円が相場となります。

※一般的にメンテナンス契約をすると法定点検(定期点検)が含まれます。

法定点検の費用:4~7万円

メンテナンス契約

エレベーターにもしものことが発生した場合に備えメンテナンス契約を結ぶケースは多いです。年1~2回の保守点検に加え、故障時や緊急時の救出、バッテリーの交換などを行ってもらえます。何かあった時にその都度対応していくと、結果的に出費が多くなることもありますので、初めからメンテナンス契約を結ぶことがお勧めです。

※メンテナンス契約をしていても、一般的に修理にかかる部品代や作業料は別途かかります。

メンテナンス契約:年43,000~59,000円

固定資産税の上昇

毎年収める固定資産税は土地や建物の評価額によって値が異なってきます。エレベーターを建物に設置すると評価額が上がるため、固定資産税も上昇します。上昇額は条件によりますが、設置の有無で固定資産税は2万円程度異なってくると言われています。見逃しがちですが、この辺りもしっかりと検討の条件に入れておくと良いでしょう。

固定資産税の上昇:約2万円程度

油圧式のオイル交換代

エレベーターが油圧式の場合は定期的なオイル交換が必要となってきます。オイルは5年ごとに交換で5万円程かかります。

油圧式のオイル交換:5年ごとに5万円

費用のまとめ

エレベーターは初期費用だけではなく、ランニングコストもそれなりにかかってくることが分かりました。まとめると大体下記の費用が目安として必要となってきます。

【初期費用】
ホームエレベーターの本体価格と設置工事費用:270万円~474万円
エレベーター設置のための各種申請費用:10万円前後
自立鉄塔の費用:50~100万円

【ランニングコスト】
エレベーターにかかる年間の電気代:5,280円~7,320円程
メンテナンス契約:年43,000円~59,000円
固定資産税の上昇:約20,000円程度
油圧式のオイル交換:5年ごとに50,000円

※併用住宅などに設置のものは、定期検査報告を特定行政庁に提出が必要な場合があります。その際メンテナンス費用の他に報告手数料(約3,000円程度)が必要となります。

【まとめ】
初期費用:3,300,000円~5,840,000円
ランニングコスト(1年辺り):78,280円~96,320円

安いとは言えない価格なので、初めにしっかりと予算を検討しましょう。特にメンテナンス契約などの部分はどれくらいかかるのかを事前に明確にしておくことが大切です。また故障などで部品の交換が必要となると追加の費用も掛かってきますので、予算には余裕をもたせておくことをお勧めします。

ホームエレベーターのメリット・デメリット

ホームエレベーターのメリット・デメリット

ホームエレベーターを設置することで、昇降が楽になったり複数人で同時に移動できたりといったメリットを期待できます。また、築年数がある程度経過していても、後付けが可能という強みもあります。それでは、ホームエレベーターのメリットについて、詳しく見ていきます。

昇降が楽になる

ホームエレベーターを設置すると、ほかのフロアへ移動するのに階段を使って昇降する必要がなくなります。例えば、重い荷物や大きい家具・家電を持ち運ぶ際にも、足腰への負担が減ります。最近では、3階以上のフロアを持つ一戸建ても少なくないため、ホームエレベーターがあると毎日の生活が楽になりそうです。ほかにも、足腰が弱いあるいは不自由な家族がいる場合、バリアフリーの一環としてホームエレベーターの設置はおすすめです。

同時に複数人が移動できる

ほとんどのホームエレベーターは、定員が3名程度と業務用エレベーターより同時に乗れる人数が少ないですが、それでも複数人が同時に移動できるのは大きなメリットです。例えば、足腰が不自由な家族に付き添ってホームエレベーターに乗る際にも、3名まで同時に乗れれば充分と言えます。

ただし、車いすに乗ったままホームエレベーターに乗る可能性がある場合には、それに見合ったサイズのものを選ぶようにしてください。

後付けが可能

ホームエレベーターは、新築時だけではなく、築年数がある程度経過した後でも後付けできます。その場合、ホームエレベーターを設置できるだけの強度が住宅本体にあれば、リフォーム不要で設置可能です。一方、充分な強度がない場合には、一度リフォームを行ってエレベーターを設置することになります。もしも、自宅がリフォーム不要かどうかわからないのであれば、まずはリフォーム工事業者へ調査を依頼するのが良いでしょう。

ホームエレベーターのデメリット

ホームエレベーターの設置にはさまざまなメリットがありますが、その一方でデメリットや注意点も存在します。ホームエレベーターの設置を検討する際には、こうしたデメリットをよく考慮したうえで、判断を行うことをおすすめします。

何かと費用がかかる

ホームエレベーターの設置には、イニシャルコストやランニングコストなどで何かと費用がかかります。導入時の費用は建物の構造やエレベーターの種類によってさまざまですが、およそ200〜400万円です。

また、設置後も電気代や法定点検、メンテナンス契約といったランニングコストが、合わせて年間15~20万円ほど必要になります。自治体によっては助成金が支給される場合もあるため、まずは自分が住んでいる自治体のホームページを確認してみてはいかがでしょうか。

スペースの確保が必要

ホームエレベーターを設置する際は、当たり前のことですが、その分のスペースを確保する必要があります。そのため、ホームエレベーターを設置することで、住宅が手狭になるおそれも考えられます。ただし、最近では技術の進歩によって、ホームエレベーターの省スペース化が進んでいます。

そのため、手狭な住宅でも、わずかなスペースでホームエレベーターを設置できるケースがあるのです。自宅にホームエレベーターを設置するスペースがあるかどうか不明な場合、一度リフォーム工事業者へ調査を依頼してみてください。

災害時には使えない

停電時や地震で安全停止装置が作動した場合、ホームエレベーターを使えない点には注意が必要です。また、タイミングが悪いとエレベーター内に閉じ込められてしまうおそれもあります。対策としては、停電や災害が起こったときにはホームエレベーターの利用を控えたり、閉じ込められた場合に連絡するメンテナンス会社の電話番号を確認しておいたりといった工夫が考えられます。

ホームエレベーターの耐用年数は25~30年

ホームエレベーターは半永久的に使えるわけではなく、25~30年程経過すると撤去して新しいものの設置を薦められます。その際にはエレベーターの新設費用に加えて撤去費用も掛かってきます。将来を見越して、どのくらいの期間利用することになるのかを考えながら導入する時期や予算を検討していくと良いでしょう。

家仲間コムでのホームエレベーターリフォーム事例

家仲間コムで紹介している、ホームエレベーターの施工事例を紹介します。ホームエレベーターのリフォームや設置を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ホームエレベーター設置

施工前の写真施工前

施工後の写真施工後

場所:岐阜県 岐阜市
建物のタイプ:マンション
築年数:不明
施工箇所:エレベーター
施工期間:3ヶ月
施工業者:リフォームパーク

こちらのお客さまからは、マンションに設置している業務用エレベーターを、住人用のホームエレベーターにリフォームしたいというご依頼をいただきました。限られたスペースでもホームエレベーターを設置できて、お客さまからよろこびの声をいただきました。

また、エレベーター内には身体が不自由な方や車いすの方用に手すりを、階数指定ボタンは低い位置に設置しています。さらに、エレベーター内に閉じ込められたときにも外部へ連絡できるよう、外線を設置しました。

関連記事:ホームエレベーターリフォーム

監修者コメント
監修者画像

荷物を運ぶのにも便利なエレベーター

エレベーターはもちろん自分が乗ればラクですが、設置された方のお話を伺うと、案外「普段は健康のためにできるだけ階段を利用するようにしている」という方も多いようです。
ではいつ使うのか?というと、重い荷物の運搬や、ケガや体調の悪い時などには「あって良かった」と思われるそうです。
特に2階や3階にLDKがある場合などは、たくさんの食材やゴミなど、荷物の上下階の移動も多くなりますね。
毎日の家事をラクに、そしてイザというときにも安心のエレベーター、頼もしいですね。

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

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監修者プロフィール
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一級建築士

高橋 みちる (たかはし みちる)

WEBサイト


アールイーデザイン一級建築士事務所代表。

住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。

著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)

【保有資格】

【所属】

noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note

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編集責任者

家仲間コム編集部

プロフィール


利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。

執筆者プロフィール
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大永 和弘 (おおなが かずひろ)


大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。

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