和室を洋室にリフォームするには|知っておきたい注意点と施工事例
最近、和室を洋室にリフォームする人が増えています。和室は趣きがあって良い反面、畳のカビやダニに悩まされるケースも少なくはありません。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・和室から洋室にリフォームするメリットには、「ダニトラブルなどが解消される」「家具を置いても跡が残りにくい」「傷みやすい畳や障子、襖の張り替え費用が要らなくなる」など
・和室から洋室にリフォームする際にかかる費用は、5万円〜20万円が相場
・和室から洋室へのリフォーム内容には、「和室畳をフローリングにリフォーム」「和室天井・壁のリフォーム」「和室ふすまから洋風引き戸・ドアにリフォーム」などが挙げられる
目次 [ 非表示 ]
和室から洋室にリフォームするメリットとは?
和室を洋室にリフォームすることによってダニトラブルなどが解消される他、家具を置いても跡が残りにくいというメリットや、傷みやすい畳や障子、襖の張り替え費用が要らなくなるといったメリットもあります。
また高齢者など車椅子での生活者にとって、床が畳よりもフローリングにした方が移動もスムーズにできるようになり、生活がしやすくなります。
和室から洋室にリフォームするための費用は?
和室から洋室へのリフォームの場合、約80%が60万円以内で収まっています。また、和室から洋室にリフォームするケースで一番多い価格帯は5万円〜20万円ほどとなっていますが、リフォームする部位によってかかる費用は大幅に変わってきます。
上のグラフは和室から洋室にリフォームする場合に行う、代表的なリフォームにかかる費用の相場を示したものです。このようなリフォーム内容の中で、和室をどの程度まで洋室にリフォームするかによって、選ぶリフォーム工事内容も変わっていくことになります。
和室から洋室にリフォームする内容とは?
このようなリフォーム工事の中から、和室をどの程度まで洋室にリフォームするかによって実施するリフォーム内容を決めていきます。畳をフローリングにリフォームするだけでも、和室は洋室らしくなります。しかし、もっと本格的に洋室に近付けるには、壁や襖(ふすま)のリフォーム工事が必要となってきます。
和室畳をフローリングにリフォーム
和室を洋室にリフォームする場合、一番に行うのは畳からフローリングに変更するリフォームでしょう。畳からフローリングにリフォームするだけで一気に洋室らしくなるため、フローリングにするだけで和室のリフォームを終える場合も多いです。
和室の畳と洋室のフローリングでは下地の構造が違うため、補強や段差解消の工事をします。また、分譲マンションの和室を洋室にリフォームする場合には、フローリングの遮音等級が管理組合で定められている場合が多いため注意が必要です。(一般的にLL-45もしくはLL−40の遮音等級基準が必要です)
和室床リフォーム費用・・・60,000円〜300,000円
4.5帖の和室の畳のみフローリングにリフォーム
※マンションなのでL-45の床材でリフォーム希望
4.5畳の和室を畳からフローリングにリフォーム 62,000円
和室天井・壁のリフォーム
畳からフローリングにリフォームするだけでも和室は洋室らしくなりますが、天井や壁をリフォームするとさらに和室感がなくなりぐんと洋室らしさが増します。和室の場合、壁は砂壁や柱を露出した壁である場合が多いので、造作工事を行い柱が見えないようにした上でクロスを張ります。天井も同様にクロス仕上げにリフォームします。
関連記事:和室の柱を石膏ボードで見えないようにし、壁を洋室にリフォームした例
また、壁はクロス仕上げにリフォームするほか珪藻土やカントリー風木材でのリフォームといったことも可能です。好みに合わせて和室の壁からのリフォームを決めると良いでしょう。
和室天井・壁リフォーム費用
クロス仕上げの場合 | 100,000円~200,000円 |
---|---|
珪藻土仕上げの場合 | 200,000円~300,000円 |
カントリー風の場合 | 250,000円~350,000円 |
和室ふすまから洋風引き戸・ドアにリフォーム
せっかく床や壁をリフォームしてもドアが和室のふすまのままでは少し違和感が残ってしまいます。和室のふすまから洋風のドアにリフォームしましょう。ふすまからのリフォームの場合、敷居の変更だけで設置できる引き戸へのリフォームがおすすめです。開き戸にリフォームしたい場合は、段差が発生する場合があるため工事の際に注意が必要です。
和室ドアリフォーム費用・・・80,000円〜150,000円
和室押入れからクローゼットにリフォーム
和室の押入れから洋風のクローゼットにリフォームすれば、衣類などを収納しやすくなります。もともと押入れは布団など寝具の収納のためのスペースなので、洋室として利用する場合は使い勝手の良いクローゼットにリフォームすることをおすすめします。
関連記事:和室の押入れをクローゼットにリフォームした例
和室の押入れは2段になっている場合が多いですが、この段を取り払い、代わりに仕切りを設置したり衣類を吊るすハンガーパイプを取り付けたりします。クローゼットのドアは折れ戸タイプや開き戸タイプなど好みに合わせて、ふすまからリフォームすることが可能です。
また、クローゼットは非常に湿気のこもりやすい場所です。大切な衣類がカビ被害に遭ってしまわないために、和室の押入れからクローゼットにリフォームする際に調湿建材を使用してリフォームすると良いでしょう。
和室クローゼットリフォーム費用・・・150,000円〜250,000円
※上記は8畳和室のリフォーム費用目安
和の要素を残せば、モダンなインテリアが完成!
和室を洋室のように使うには、まずは床をフローリングに変えるだけでも、洋風の生活スタイルに変えることができます。天井や壁はそのままでも和の情緒があっていいですが、柱を塗装したり、塗り壁を珪藻土に塗り替えたりするだけでも、和モダンな雰囲気の洋室にチェンジすることもできます。
今ある要素を残すことで工事費を抑えながら、インテリアも一新することができれば、一石二鳥ですね。ぜひ、工夫してみてくださいね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
和室から洋室にフルリフォームする場合の費用
和室から洋室にリフォームする場合、畳をフローリングにリフォームするだけでなく壁や押入れなど全てまとめてフルリフォームするという選択をするケースも多いです。8畳の和室をフルリフォームする場合、平均して550,000円〜900,000円程度のリフォーム費用となります。下記は実際の和室リフォーム費用例です。
8帖和室を洋室にフルリフォーム
※壁は珪藻土仕上げ希望
畳からフローリング張替え | 150,000円 |
---|---|
押入れからクローゼットリフォーム | 120,000円 |
天井リフォーム | 70,000円 |
壁珪藻土リフォーム | 190,000円 |
襖からドアへの変更 | 90,000円 |
合計 | 620,000円 |
キッチンに隣接する6畳の和室を洋室にフルリフォームしてLDKに
畳からフローリング張替え | 80,000円 |
---|---|
砂壁からクロス壁に変更 | 100,000円 |
天井リフォーム | 40,000円 |
押入れからクローゼットリフォーム | 80,000円 |
キッチンフローリングリフォーム | 60,000円 |
間仕切り壁解体撤去 | 50,000円 |
合計 | 410,000円 |
和室と洋室の構造の違いとは?
和室を洋室にリフォームする場合、構造の違いから補強や段差解消の工事が必要となってきます。和室のリフォームにはどんな工事が発生するのか、構造の違いから見てみましょう。
和室と洋室の床構造の違い
和室の畳をフローリングにリフォームする場合、畳を撤去してすぐにフローリングを張れるわけではありません。床の下地となっている根太(ねだ)という部分があるのですが、これは畳の場合強度が期待できるため根太の感覚を広めにして下地を組んであります。和室の根太は455mm前後です。
しかしフローリングにリフォームする場合、根太の間隔が広いと強度に問題があるのです。そこで根太の間隔を303mm程度まで狭くして配置する工事が必要となってきます。畳は厚みがあるため、そのままフローリングを張ると他の部屋との間で段差ができてしまいます。そこで、根太を組んだあとに捨てベニヤを張って高さを調整します。
また、古い家では和室の下地に断熱材が入っていないケースもよくあります。これは、畳自体に断熱効果が期待できるからなのですが、フローリングにリフォームする場合断熱材を入れる工事を行ったほうが良いでしょう。
和室と洋室の壁構造の違い
和室の壁は真壁(しんかべ)といい、柱が見えるような造りになっています。洋室風の壁にリフォームする場合、柱の見えない大壁(おおかべ)という造りに変更します。この工事は、柱を中に隠すために柱と柱の間に胴縁(どうぶち)という木を組んでいきます。その上に耐火ボードを張り、クロスで仕上げます。
和室から洋室にリフォームする場合の注意点
和室から洋室にリフォームする場合、特にマンションでは注意が必要です。畳はその性質から遮音性に優れています。畳の上を歩いてもあまり音はしませんね。しかし、フローリングは畳に比べて音が響きやすいのです。
そのため、和室の畳から洋室のフローリングにリフォームする場合には、遮音性に注意が必要です。マンションの場合は管理組合でフローリングの遮音等級が定まっていることが多いです。一般的なマンションでは、L-45以上のフローリングを使用することに決まっていることが多いため、和室をリフォームする前に管理組合に問い合わせましょう。
また、一戸建ての場合でも2階の和室をフローリングにリフォームする場合などでは下の階に音が響きやすくなります。家の間取りや生活スタイルに合わせてフローリングの遮音等級を選択しましょう。
格安で和室を洋室にリフォームするには?
和室から洋室にリフォームする場合、工事が少々大掛かりなため、かかる費用も高くなりがちです。そのため、少しでも費用を抑えて和室のリフォームを行う場合、業者の選定が重要となってきます。
例えば和室の床リフォームの場合、補強工事代を含んだ費用で設定している業者と補強工事代は別途の業者があります。床の下地状況によって補強工事が必要かどうか決まるため、自分の家にあった費用設定をしている業者を選択するのが格安でリフォームを行うコツです。
そのためには、何社かの業者から和室リフォームにかかる費用の見積もりを出してもらうことが大切です。当然、業者によってリフォーム工事代金は違いますし、自分の家の和室にあったリフォーム方法を一緒に考え、アドバイスをもらうことができます。そのうえで自分が信頼できると思った業者に、和室リフォーム工事を依頼しましょう。きっとより良い和室リフォームができることでしょう。
家仲間コムでの洋室リフォーム事例
ここからは家仲間コムでの洋室へのリフォーム事例を紹介します。
6畳間の和室から洋室へのリフォーム
場所:宮城県 仙台市太白区
建物のタイプ:木造二階建て
築年数:不明
施工箇所:和室6畳
価格:16万円
施工期間:1日
施工業者:T’s Crafting
「中古で購入した物件の和室を洋室に変えたいので、畳からフローリングに変更してほしい。」との依頼でした。他の部屋と馴染むフローリングの色を希望されていたので、明るい色のフローリング材をチョイスしました。また、隣のリビングと同じ高さに仕上げることで、移動時のつまずきを防止しました。
関連記事:6畳間の和室から洋室へのリフォーム
和室から洋室への自然素材を使ったリフォーム
場所:東京都 昭島市
建物のタイプ:木造二階建て
築年数:10年
施工箇所:屋根・外壁・バルコニー防水
価格:90万円
施工期間:15日
施工業者:株式会社FAM.
「塗装カラーシュミレーターを作成し、提案してほしい」との依頼でした。外壁に突起している部分が同色だったため、アクセントとしてカラーシュミレーターで10個ほど提案し、お好きなカラーを選択してもらいました。家全体の雰囲気もガラッと代わり、大変満足いただいた事例です。
関連記事:和室から洋室への自然素材を使ったリフォーム、ハウスダスト対策
和室から洋室への自然素材リノベーション
場所:福井県 福井市
建物のタイプ:木造2階建て
築年数:約30年
施工箇所:和室
価格:330万円
施工期間:1ヶ月
施工業者:Light Circulation
「和室を洋室へリノベーションしてほしい」との要望でした。ナチュラルな仕上がりを希望とのことでしたので、壁には珪藻土を使用し、腰板はヒノキ材を採用しました。また、窓はYKKさんのプラマ-ドUを使用し、2重サッシにすることで防犯面にも配慮しました。
関連記事:和室から洋室への自然素材リノベーション
和室から洋室へのフローリング施工工事
場所:愛知県 名古屋市緑区
建物のタイプ:木造在来二階建て
築年数:約30年
施工箇所:和室
価格:25万円
施工期間:約3日
施工業者:プッチリフォームナガオカ
和室の畳を撤去して、バリアフリーにした施工事例です。築25年ということもあり、和室の床が痛んでいたため床の補強工事も施しました。「部屋間の段差が無くなったことで、住みやすくなった」と、とても喜んでいただきました。
関連記事:名古屋市緑区にて和室から洋室へのフローリング施工工事
和室から洋室へのリフォーム
場所:埼玉県 新座市
建物のタイプ:木造2階建て
築年数:44年
施工箇所:和室
価格:50万円
施工期間:1ヶ月
施工業者:アルカディアホーム (東日本都市開発)
「3Kの住宅を、増築をしてLDK仕様にしてほしい。」との依頼でした。和室は劣化が進んでいたため、フローリングに張り替えました。また、内部建具は、すべて取り替えを行い、収納部だったところを加工して冷蔵庫置き場にしました。
関連記事:和室から洋室へのリフォーム(2)
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アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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高齢になったら和室より洋室へ
和室はおじいちゃん、おばあちゃんのお部屋、というのは昔の話。実際は高齢になるほどベッドのほうが生活しやすくなるので、洋室の方がバリアフリーといえます。
最近は新築でも和室を作らない家も多いですし、リフォームで和室から洋室に変更する方も増えています。
和室は心が落ち着くなど、日本人ならではの癒し空間ではありますが、将来のことを考えると、今のうちに洋室にしておいた方がいいかもしれませんね。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)