【低コスト!設置も簡単】耐震シェルターとは。種類、導入手順、補助金も解説

サムネイル【低コスト!設置も簡単】耐震シェルターとは。種類、導入手順、補助金も解説

 30年以内の巨大地震発生率が70%超ともいわれる日本。「万が一、地震の揺れに耐えきれず、自宅が倒壊でもしたら」と考えると、気が気ではないですよね。でも「家の耐震改修工事はお金がかかりすぎるし...」とお悩みのあなたに朗報です!

 耐震改修工事よりも低コストで工期も短く、賃貸住宅でも簡単に家の中に組み立て設置ができる「耐震シェルター」という「第二の選択肢」が開発されているのです。

 今回は「安価で信頼できる耐震装置」として補助金を出す自治体も多い「頼れる命綱」について、新聞記者歴22年の筆者が取材したメリットやデメリット、種類、おすすめの製品、導入手順、補助金活用法などを解説します。

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POINT この記事のポイント

「耐震シェルター」とは、リビングや寝室など住宅の内部に設置できる箱型避難所(シェルター)のこと
・耐震シェルターのメリットは「低コスト」「工期が短い」「賃貸住宅でも設置可能」。デメリットは「耐震性がアップするのはシェルター部分のみ」「設置場所の床補強工事が伴う場合がある」など
・耐震シェルターの種類は、部屋型、ベッド型、テーブル型など様々
補助金を使えば、本体は自己負担0円でも購入できる

耐震シェルターとは

image倒壊実験後のシェルター外観

出典:木質耐震シェルター|株式会社一条工務店

 「耐震シェルター」とは、リビングや寝室など、住宅の内部に設置できる木製や鉄骨製の箱型避難所(シェルター)のことです。

 木造家屋の1階に設置しておけば、万が一、地震で家が倒壊しても、シェルター部分は原型をとどめるだけの耐荷重があるため、中にいる人の命を守ります。

 価格は、組み立て工事費込みで数十万円からと手頃で、工事の際は既存の住宅に手を加えることなく、住みながら最短半日程度で設置が可能。このため、近年「安価で信頼できる木造住宅の耐震装置」(東京都)などとして注目されているのです。

「耐震改修工事」に次ぐ「第2の選択肢」

 ただし、住宅の耐震対策として最も有効なのは「耐震改修工事」に違いありません。しかし、耐震改修は家全体を大きな地震に耐えられるよう補強する工事のため、費用は高くなってしまいます。一般財団法人「日本建築防災協会」の調査によると、耐震改修の相場は100万円〜150万円。築年数の古い家ほど、高額になる傾向があります。高齢者が1人でお住まいの場合はなおさら、耐震改修工事はハードルが高くなるでしょう。

 そんなとき「第2の選択肢」に上がるのが「耐震シェルター」です。耐震シェルターの場合、家全体の耐震性は変わらないため、シェルター以外の部分は大地震で倒壊する恐れは残ります。しかし、家の中で一部でも倒壊しない空間を確保することで、人命を守ったり、逃げ道を確保したりできます
 耐震シェルターは最も手頃なもので30万円程度で設置できますから、耐震改修工事の5分の1程度の費用で大きな安心・安全が買えるというわけです。

 また、耐震シェルターなら、家を建て替える場合でも、新しい家に再利用できるというメリットもあります。

 最近では、木造住宅だけでなく、アパートやマンションなどの賃貸住宅でも設置可能な商品が販売されています。

関連記事:耐震補強工事を考える|工事の内容と費用相場を知りたい
関連記事:意外と知られていない耐震工事の方法|5つのパターンを徹底解析

耐震シェルターのメリット・デメリット

表 耐震シェルターのメリットとデメリット

耐震シェルターメリット・デメリットをまとめると、次のようになります。

 メリット 
 ・費用が抑えられる
 ・在宅工事が可能
 ・工期が最短半日と短い
 ・家の建て替え時に再利用できる
 ・マンションなどの賃貸住宅でも設置可能


 デメリット 
 ・耐震性がアップするのはシェルター部分のみ
 ・設置場所の床補強工事が伴う場合がある
 ・商品によっては圧迫感・閉塞感を感じる

監修者コメント
監修者画像

家に求められる耐震性能は建築基準法によって定められていますが、それは大地震にあっても「倒壊しない」ためであり、ある程度の損害を受けることはやむを得ないと考えられています。なぜ倒壊を防ぐのかといえば、それは人命を守るためだからです。
耐震改修となれば数百万円と予算も大きくなりがちですが、耐震シェルターなら数十万円で人命を守ることができます。悩まれている方は、まずは手軽な地震対策として、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

耐震シェルターの種類

図解 耐震シェルターの主な種類

 耐震シェルターには、主に部屋型とベッド型があります。そのほか、テーブル型、キャビン型などの種類もあり、用途別に選べるようになっています。

 いずれも、メーカーか各地のリフォーム業者が、工場で製作された部品を設置予定の室内に持ち込み、内部で組み立てる仕組み。耐震シェルターはそれなりの重量があるため、床の補強工事が必要となる場合もあります。

図解 耐震シェルター組み立てイメージ

 ここからは、自治体の安全性評価を受けた製品のうち、編集部おすすめの5点について、価格や設置期間、大きさなどの情報を紹介します。

1. 木質耐震シェルター(一条工務店)

image一条工務店の木質耐震シェルター室内イメージ図

image一条工務店の木質耐震シェルター俯瞰イメージ図

出典:木質耐震シェルター|株式会社一条工務店

・価格:標準Aタイプ45.1万円(税金+施工費込み)
・設置期間:2日
・大きさ:2,492×2,390×2,310mm
・重さ:約1.1t

2. 耐震シェルター「剛建」(宮田鉄工)

木造軸組耐震シェルター「剛建」|有限会社宮田鉄工

出典:木造軸組耐震シェルター「剛建」|有限会社宮田鉄工

・価格:6畳用50.6万円(税金+施工費込み)
・設置期間:1日
・大きさ:2,730×2,330×2,241mm
・重さ:約600kg

3. 安心防災ベッド枠(フジワラ産業)

安心防災ベッド枠|フジワラ産業株式会社

出典:安心防災ベッド枠|フジワラ産業株式会社

・ 価格:38万円(税別)
・設置期間:半日
・大きさ:1,300×2,400×1,855mm
・重さ:約200kg

4. 介護ベッド用シェルター(ニッケン鋼業)

介護ベッド用シェルター|ニッケン鋼業

出典: 介護ベッド用シェルター|株式会社ニッケン鋼業

・価格:45万円(税別)
・設置期間:半日
・大きさ:1,140×2,450×1,850mm
・重さ:約140kg

5. 小型耐震シェルター「構-kamae」テーブルタイプ(関西ポラコン)

小型耐震シェルター「構-kamae」テーブルタイプ(関西ポラコン株式会社)

出典:小型耐震シェルター「構-kamae」テーブルタイプ(関西ポラコン株式会社)

・価格:27万円~(税別)
・設置期間:半日
・大きさ:1,200×900×720mm~
・重さ:約52kg~

耐震シェルターに対する補助制度

表 耐震シェルターに対する補助金(東京都新宿区の場合)

 耐震シェルター設置については、複数の自治体が補助金を支給しています。条件や金額は自治体によって異なりますが、例えば東京都新宿区は次のようになっています。

新宿区建築物等耐震化支援事業

補助限度額45万円(設置費用の9/10)

 条件①昭和56年5月31日以前か昭和56年6月1日から平成12年5月31日に在来軸組工法で着工された2階建て以下の木造住宅など
 条件②予備耐震診断の結果が「耐震補強が必要」となっている住宅
 条件③申請者が、住民税を滞納していないこと
 条件④耐震シェルターは助成対象製品から選ぶこと


東京都新宿区:木造:耐震シェルター、耐震ベッド設置への助成【拡充】

「旧耐震」が対象、耐震診断が必要な場合も

 補助金の申請は施工前に必要な場合や、指定の製品でないと補助金が下りない場合もありますので、必ず事前にお住まいの自治体へ問い合わせをしてください。

 多くの自治体が補助金適用の住宅要件として、建築基準法の「旧耐震基準」が適用されている「昭和56年5月31日以前」の着工という点を挙げています。補助金の活用を希望される方は、ご自宅の着工年を確認しておきましょう。

 また、ご自宅が耐震診断で「補強が必要」と認定されていることも要件としている自治体もあります。ただ、その場合でも、耐震診断の費用まで助成している自治体もありますので、活用されてください。例えば愛媛県今治市には、耐震診断が自己負担3000円から受けられる制度が用意されています。

愛媛県今治市:耐震診断に補助します | 建築課
関連記事:耐震工事をする前に知っておきたい費用制度と助成制度

監修者コメント「新耐震なら安心、ではない」

監修者コメント
監修者画像

昭和56年6月に耐震基準が大幅に改正されたため、それ以前の建物を「旧耐震」、以降を「新耐震」として区別されるようになりました。旧耐震の建物には自治体などからの補助金もあり、耐震改修が進められています。
では新耐震なら安心かというと、実はその後の平成12年6月にも耐震の基準は改正されているため、それ以前の建物は現行の基準を満たさないものもあるのです。我が家は大丈夫かしら、と思われる方は、ぜひ自治体の窓口に相談し、耐震診断を受けてみてください。

監修者:高橋 みちる(一級建築士)

少ない自己負担で大きな安心!

 今回の記事では、耐震シェルターが「耐震改修工事」に比べて低コストな上、家に住みながら最短半日で簡単に組み立て設置できる有効な家屋の倒壊対策であることを解説しました。

 耐震シェルター設置については、補助金を40万円以上支給している自治体も多くあります。メーカーによると、低価格帯を選べば、部屋型シェルターでも本体は自己負担0円で購入できる自治体もあるのだそうです(床補強工事10数万円が伴う場合はあります)。ぜひ導入を検討されて、少ない予算で大きな安心を手に入れてくださいね。

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監修者プロフィール
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一級建築士

高橋 みちる (たかはし みちる)

WEBサイト


アールイーデザイン一級建築士事務所代表。

住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。

著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)

【保有資格】

【所属】

noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note

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家仲間コム編集部

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利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。

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編集長

田中 敦子 (たなか あつこ)


九州大学工学部卒業後、西日本新聞社に入社。記者として22年間、政治、経済、司法、軍事、文化、教育など、あらゆる分野の取材に従事する。旅と建築、インテリアが好きで、退社後は世界一周旅行に挑戦。アジア、欧米、中東、アフリカ各国の内装自慢のホテルや「サグラダファミリア」「トプカプ宮殿」などの一級建築物を取材し、撮影動画をYouTubeで2年間配信した。母親は宅地建物取引士、元インテリアコーディネーター。

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