ペアガラスの結露発生の原因と対策|内部結露は交換が必須
ペアガラスが結露しないというのは正確ではありません。実はペアガラスは結露しにくいだけであって、結露が起こらないわけではないのです。今回は、ペアガラスの結露が起こる原因と結露が起こった場合の対応策について解説します。後ほど詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・ペアガラスの外側に結露が発生する原因は、「室内外の温度差が激しい」「通気性が悪い」「湿度が高い」など
・ペアガラスに内部結露が起こる原因の多くは、シーリングの劣化によるもの
・ペアガラスの交換にかかる費用は、約5万円~
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ペアガラスは結露しないのでは?
「ペアガラスは結露しない」と聞いてペアガラスを導入された方のお声を聞くことがあります。ペアガラス(複層ガラス)は、2枚のガラスの間に空気やガスなどを充填させたり真空にすることにより断熱性を高めています。
室内と外部との温度差が起きにくくなるため、単層ガラスと比較すると結露が起きにくくなるという構造です。ただし、残念ながらまったく結露しない窓ガラスは存在しませんので、ペアガラスでも結露してしまうことがあります。
では、ペアガラスの結露が起こっている場合、どこに結露していますか?ペアガラスの結露は、外側と内部のどちらに起こっているかによって対策が異なります。
ペアガラスの外側の結露
ペアガラスの外側というのは、ガラスの室内側表面の結露のことを差します。基本的にペアガラスは、2枚のガラスの間に空気層をつくることによって外気と室内の温度差が生じにくいため、単層ガラス(一枚ガラス)と比較すると結露は発生しにくい構造になっています。では、なぜ結露が起こってしまうのでしょうか?
主な原因は下記の3つが考えられます。
1. 室内外の温度差が激しい
温度差が大きいほど結露が発生しやすくなるため、室内外の温度差が激しい場合にはどの窓ガラスやサッシであっても結露します。特に断熱性の低いアルミサッシは、ペアガラスと組み合わせていても結露が発生しやすくなります。
関連記事:アルミサッシメーカー比較/ガラスとの組み合わせで断熱性能を高めるのがポイントです
北海道や東北地方など気温が低い寒冷地域では、より断熱性を高めた寒冷地仕様の窓ガラスやサッシを採用することで、結露の発生を抑えることができます。寒冷地ではなくても、気温が上がりにくい北向きの窓を高断熱の窓に変えることで家全体の断熱性を高められるので、場所によって採用する窓ガラスの種類を変えるのもひとつの方法です。
また、断熱性が高いとエアコン効率が良くなるので夏でも涼しい家になり、真夏の暑さ対策としても効果を発揮します。
関連記事:夏涼しい家にするための3つの基本とその方法
1-1. 高断熱の「樹脂サッシ+トリプルガラス」
出典:高性能樹脂窓「エルスターX」|LIXIL
最も断熱性が高いのは、「樹脂サッシ+トリプルガラス」の組み合わせです。ペアガラスは2枚のガラスですが、トリプルガラスは厚さ3mmのガラスの間にさらにもう一枚ガラスをはめ込んでより断熱性を高めます。
例えば、LIXILさんの樹脂サッシ+トリプルガラス「エルスターX」は世界トップクラスの断熱性を誇っています。従来品との熱貫流率の比較は下記です。熱貫流率は数値が低いほど高断熱であることを示します。
窓の種類 | 熱貫流率 |
---|---|
ペアガラス | 1.48w/(㎡/k) |
エルスターX | 0.79w/(㎡/k) |
夏の日射熱を抑えるLow-Eガラスのグリーン(グリーンががったクリアな色味)を選ぶことで、夏の暑さが厳しい地域や方角の窓にも対応可能です。さらに、夏の冷房・冬の暖房を合わせて、年間の省エネ率は最大34%も削減できます。
関連記事:大開口窓のメリット・デメリット|窓ガラスとサッシで断熱効果がアップ!
2. 通気性が悪い
ペアガラスに結露が発生する原因は、気温差だけではありません。室内の空気は真夏でも真冬でも、通気性を良くして空気を循環させておくことで湿気を逃がす必要があります。通気性が悪いと湿気がたまりやすくなり結露の発生につながります。
カーテンなどのウィンドウトリートメントを閉めっぱなしだったり、窓を一切開けないというお宅は、ぜひ一日に2回朝夕にはカーテンと窓を開けて空気の入れ替えを行いましょう。
関連記事:窓の風通しを良くするブラインドのメリットと、風通しをよくするポイント
3. 湿度が高い
冬は加湿器を使うご家庭も多いと思いますが、湿度が60%を超えると加湿しすぎの状態になり結露が発生しやすくなります。湿度の自動調節機能がある加湿器を使用するか、時々換気をして湿度の調整を行いましょう。
結露したままのガラスを放置しているとサッシにカビが生えますので、スキージーや雑巾などで水分をとっておくことも大切です。夏には除湿機を使って湿度調整を行うと、過ごしやすくなります。
関連記事:調湿建材の特徴|結露対策やカビやダニの抑制に効果的!
ペアガラスの内部の結露
ペアガラスの結露で問題なのが、ペアガラス内部の結露です。ペアガラスは2枚のガラスを合わせて内部には一切水分が入らない構造になっていますが、何らかの不具合により水分が入ると内部が結露する場合があります。これを「内部結露」と言います。
1. ペアガラスの内部結露は交換が必要
内部結露が発生した場合は、残念ながらガラスを交換するしか方法がありません。ペアガラスに内部結露が起こる原因の多くは、シーリングの劣化です。窓ガラスとサッシの間はシーリング材(またはコーキング材)という隙間を埋める接着剤を使用していますが、経年劣化により穴があいたり隙間ができる可能性があります。
これは消耗品の劣化ですので長く使う以上避けられません。そのため、ペアガラスのメーカーは商品に対して10年保証をつけているところがほとんどです。
保証期間内にペアガラスの内部結露が起こっていないか確認して、保証が切れる前に不具合が見つかった場合はすぐにメーカーへ連絡しておくと安心です。保証期間は、製造日から10年である点に注意しましょう。
劣化を防ぐためには、結露した場合は早めに水分を拭き取り湿気がない状態にしておくことです。
2. ペアガラスの交換をお得にするには?
ペアガラスに内部結露が起こった場合、ペアガラスだけを交換することで費用を抑えることができます。ペアガラスのみ交換であれば施工費用は約5万円~、サッシも交換する場合は約10万円~が目安です。ペアガラスのみの費用は下記が目安です。
ガラスの種類 | 費用目安(900mm×1,800mmの場合) |
---|---|
ペアガラス | 約1.8万円~ |
Low-Eガラス | 約3.5万円~ |
ペアガラスは、内部の充填材の種類によって費用が異なります。一般的に最も断熱性能が高いのは「真空」、次に「アルゴンガス」「空気」という順で、性能にも差が出ます。
ペアガラスの結露が発生する原因と対策まとめ
ペアガラス(複層ガラス)は確かに断熱性能が高く結露が起こりにくい構造にはなっていますが、住宅の環境やサッシとの組み合わせによって結露が起こらないわけではありません。ペアガラスの表面に結露が発生した場合はすぐに水分を拭き取り、カビが発生しないよう結露対策を行いましょう。
通気性を良くして湿度のコントロールをすることは今すぐにでも対応できますので、ペアガラスを長く使うためにも環境を見直すことから始めてみませんか。
ペアガラスの交換費用を一括見積り!
ペアガラスの交換費用の見積もりを依頼する際は一括見積りが便利です。ペアガラスの内部結露が起こった場合、放置していると症状が進み改善する方法がありませんので、早めに交換されることをおすすめします。
家仲間コムの見積もりサイトには約1000社の登録業者さんがいて、ペアガラス本体の割引をしてくれるところもありますので見積もりで比較検討してみましょう。また、匿名・無料で見積もり依頼ができるのでしつこい勧誘などもありません。
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大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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