エコキュート(電気)の仕組みと費用目安|上手な使い方のコツとは?
エコキュートは電気を使ってお湯を作り出す仕組みですが、気になるのは導入費用やランニングコストではないでしょうか。今回は、エコキュートの仕組みやメリット・デメリットと合わせて、導入費用やランニングコストの目安、エコキュートを上手に使うポイントなどを解説します。後ほど詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。
POINT この記事のポイント
・エコキュートの導入費用は、割引後の本体費用と施工費用合わせて約30万円~80万円が目安
・エコキュートの一年間にかかる電気代は約2.2万円~2.4万円程度と、高い省エネ効果が得られる
・エコキュートのメリットは、「災害時にお湯が使える」「二酸化炭素(CO2)排出量が少ない」「火災リスクが少ない」「AIによる学習機能でより省エネ」「太陽光発電システムと併用でさらにお得」の5つ
エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯器)の仕組み
「エコキュート」は自然冷媒ヒートポンプ給湯器のことで、電気を熱源としています。自然冷媒に集めて高温にした大気中の熱に、水を伝えてお湯を作り出す仕組みです。
参照:エコキュートの仕組み|ダイキン
自然冷媒とは、自然界にもともとある物質のことで、二酸化炭素(CO2)・アンモニア(NH3)、水、空気、炭化水素などを指します。エコキュートの場合は、二酸化炭素(CO2)を自然冷媒として利用しています。「電気温水器」も電気でお湯を沸かしますが、ヒーターで水を温めお湯を作る仕組みなので、熱源が電気である点以外はお湯の作り方が違います。
電気は深夜電力を使うと光熱費が割引されますが、エコキュートは電気代の安い深夜にお湯を作って溜めておくので、他の給湯器と比べても省エネ効果が高いのが最大の特徴です。
1. エコキュートの導入費用目安
出典:エコキュートJPシリーズ|panasonic
エコキュートの導入費用は、割引後の本体費用と施工費用合わせて約30万円~80万円が目安です。エコキュートは本体費用が高価な点がデメリットで、例えば下記のPanasonicの上位モデルエコキュートの場合、メーカー希望価格は約93.2万円~(税別、施工費別)です。下位モデルで約66.3万円~(税別、施工費別)です。
定価ではこのように高価ですが、実際には取り付け業者さんから購入することで半額程度にまで割引してもらえることも多いので、設置費用と合わせて複数見積もりをもらって比較検討してみましょう。
2. エコキュートのランニングコスト目安
住宅設備をあらたに設置する際には、導入費用と合わせてランニングコストも考えておかなければいけません。給湯器の耐用年数は約10年間ですので、目安として10年の間にかかったランニングコストもトータルで考えることで、お得かどうかの判断になるからです。ランニングコストとは、設備を維持するためにかかる費用のことで、エコキュートの場合ですと月々の光熱費や定期点検費用が当てはまります。
2-1. 年間の光熱費
エコキュートは電気代の安い深夜電力を使いますので、一年間にかかる電気代は約2.2万円~2.4万円と、高い省エネ効果が得られます。
エコキュートよりも以前に発売されていた電気温水器の光熱費は年間約8.6万円かかりますが、エコキュートに買い替えることで、なんと約1/4もお得になるんです。下記メーカーのリンク先より、お住まいの地域の電気代目安が試算できますので、どれぐらいの電気代になるのか確認してみましょう。
参照:
エコキュートの電気料金|ダイキン
エコキュートの低ランニングコスト|Panasonic
2-2. 定期点検費用
エコキュートは、フィルターのお手入れや配管洗浄などを定期的に行うことで長く安全にお使いいただけます。フルオート機能のエコキュート商品であれば、「自動配管洗浄」機能が搭載されていますのでお手入れも楽です。エコキュートの設備や貯湯タンクなどは省エネ効率と衛生面に影響しますので、安全に使用するためにも、約3年毎にメーカーや専門業者に定期点検をしてもらいましょう。定期点検費用は約1.2万円~1.5万円が目安です。
3. エコキュートの設置スペース
エコキュートは電気代の安い深夜電力でお湯を沸かして溜めておく仕組みですので、貯湯タンクが必要です。設置スペースはおおよそ畳1帖分が必要になり、狭小住宅では設置が難しいことがあります。貯湯タンクの容量は、家族人数を目安に下記のタイプをお選びください。
家族人数 | タンク容量目安 |
---|---|
2~4人 | 195ℓ~300ℓ |
3~5人 | 370ℓ |
4~7人 | 460ℓ |
5~8人 | 560ℓ |
参照:エコキュートの貯湯タンクの選び方|Panasonic
貯湯タンクのサイズ目安は下記です。
タンク容量目安 | サイズ (高さ×横幅×奥行き) |
狭小地向け 薄型モデルのサイズ |
---|---|---|
195ℓ~300ℓ | 1890×440×560mm | - |
370ℓ | 1810×600×680mm | 1843×1078×440mm |
460ℓ | 2170×600×680mm | 2199×1078×440mm |
560ℓ | 2086×732×810mm | - |
貯湯タンクと別にエコキュート本体の設置スペースも必要です。エコキュートの本体サイズは、「高さ672×横幅799×奥行き299mm」程度が目安です。ちなみに、畳1帖分のサイズは下記です。(地域によって多少異なります。)
・東日本エリア(江戸間):横1760×縦880mm
・東海エリア(中京間):横1820×縦910mm
・西日本エリア(京間):横1910×縦955mm
4. エコキュートのメリット
エコキュートのメリットには上記の5つがあります。順番に詳しく見ていきましょう。
4-1. 災害時にお湯が使える
エコキュートは、電気代が安い夜間電力を使用してお湯を作って溜めておく仕組みです。湯量は370ℓの貯湯タンクの場合で、20ℓのポリタンク18個分の水が使えます。飲料として飲むことはできませんが、4人家族であれば2~3日間のトイレや手洗いなどに利用できるので災害時には助かります。
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万が一の災害時が起こった際にも、電気は復旧が早いので安心です。
4-2. 二酸化炭素(CO2)排出量が少ない
ご家庭内で消費するエネルギーのうち約1/4は給湯器が消費しています。エコキュートはお湯を沸かすために自然冷媒として二酸化炭素を利用しているため、二酸化炭素の排出量を約65%削減。自然環境保護にも役立っています。
4-3. 火災リスクが少ない
エコキュートは電気を使ってお湯を作る仕組みですので、火を使いません。ガスを使用するエコジョーズと比べると、火災のリスクはかなり少なくなりますので高齢者の方でも安心です。
4-4. AIによる学習機能でより省エネ
最新のエコキュートには新しい機能が付加されていて、より省エネ率が高くなっていますので、導入される場合はぜひ新しい機種をご検討ください。新しい機能の中でも、AIによる学習機能を備えたタイプは省エネ率がさらにアップ!AIによる自動学習機能には下記のようなものがあります。
・浴室内に人が入ってきたことを感知すると自動で設定温度まで加熱
・お湯の冷め方を学習して浴室不在時に湯温を自動チェックする回数を減らし、無駄な電力をカット
・過去2週間程度の使用湯量を学習し、最適な湯量を自動で沸かす
・集中的にお湯を使う時間を学習し、足りないと予想される分は自動でわき増しする
4-5. 太陽光発電システムと併用でさらにお得
太陽光発電システムとエコキュートは大変相性が良いのも特徴です。太陽光発電システムは2019年11月までは、余剰電力の固定料金での買い取り制度がありましたが、現在順次終了しています。電力会社によっては引き続き買い取りを行っているところもありますが、以前の制度時より買取金額が低くなるケースが多いものです。太陽光発電システムが設置されているご家庭では、エコキュートを導入することで余剰電力をエコキュートに利用できるため深夜電力の使用量が減り、結果的に電気代の節約につながります。
4-5-1. ZEH補助金の対象となるケースもあり
「ZEH(ゼッチ)」とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、家庭内で使用される電気やガスなどの燃料よりも、太陽光発電システムなどで創り出すエネルギーが同等またはより多い住宅のことを言います。太陽光発電システムがありエコキュートを導入されると、ZEH住宅に該当し、他の要件を満たすことで国から補助金が支給される場合があります。
参照:
ZEHリフォームで補助金活用|Panasonic
ZEH住宅には補助金が出ます|三菱電機
要件を満たしている場合の補助金の目安は下記です。
補助金名称 | 補助金の目安 |
---|---|
ZEH支援事業 | 上限70万円 |
ZEH+実証事業 | 上限115万円 |
エコキュートの上手な使い方のポイント
エコキュートには下記のようなデメリットもあります。
・たくさん使うとお湯切れすることがある
・電気代の高い昼間に自動湯沸かし設定をしていると電気代が高くなる
・寒冷地では水温が低いので電気代が多くかかることがある
これらのデメリットは、上手な使い方をすれば改善できます。
1. お湯切れ問題
エコキュートは、基本的には貯湯タンク内に溜めたお湯しか使うことができませんので、お湯の使い方に工夫が必要です。具体的には下記です。
・お湯を出しっぱなしにしない
・入浴でお湯を溜める時には適量を溜める
・家族の人数に合わせたタンク容量を選ぶ
節水を意識されているご家庭では普段から行っていることですが、お湯の出しっぱなしやバスタブに使った際にあふれるほどの湯量は不必要ですよね。タンク容量は設置スペースの関係もありますが、家族人数に合わせたものを選びましょう。
2. 自動湯沸かし設定
エコキュートは基本的に電気代の安い深夜電力を使ってお湯を作ります。電力会社の契約プランも深夜電力が安いプランに加入しますが、ライフスタイルに合わせた最適なプランを選ぶことが重要です。タンクのお湯が少なくなってくると自動で日中にお湯を作る設定があるのですが、便利な反面、電気代が高くなる原因になることも。
お湯をたくさん使う予定がなければ「自動湯沸かし設定」はオフにしておくこともできます。また、旅行などで数日間不在にする時は休止モードに設定しておくと、留守の間お湯を新たに沸かすことがなくなり節約できますよ!
3. 寒冷地仕様
気温が低く雪の多い寒冷地では、寒冷地仕様のエコキュートを採用しましょう。寒冷地仕様の商品には下記の機能がついています。
・マイナス25℃にも耐えられる耐久性
・凍結防止機能
・保温効率アップ
参照:寒冷地向けエコキュートラインアップ|三菱電機
冷たい水を熱いお湯にするためには大きな電力が必要になり、電気代が高くなりますが、寒冷地仕様の商品を選ぶことで省エネ効果が高まって安全に使用することができます。
マンションではぜひ管理組合で話し合いを
エコキュートの設置には、タンクとヒートポンプユニットの設置場所、配管経路、電気容量などを検討する必要があります。マンションの場合はそれらに制約が多く、共用部に関係すれば管理組合の許可が必要になるなど、設置のハードルは高くなります。しかし既に電気温水器を採用している場合は、ヒートポンプユニットが設置できれば叶うかもしれません。マンションだからダメと諦めずに、管理組合全体で話し合いをされてみてはいかがでしょうか。
監修者:高橋 みちる(一級建築士)
エコキュートの仕組みまとめ
エコキュートはオール電化住宅や太陽光発電システムとも相性が良く、最新の機種にはAIが搭載され、より使い勝手がよくなりました。もちろん外出先からスマートフォンで操作も可能です。また、現在国が推進しているZEH補助金の対象となるエコキュート商品が多くありますので、それらを採用すればよりお得に設置することもできますよ!
エコキュートをお得に設置するなら?
エコキュートをお得に設置するなら一括見積りが便利です。現在電気温水器を使われている方や、太陽光発電システムがすでにあるという方はエコキュートにすることで、より光熱費の節約につながりお得です。
家仲間コムの見積もりサイトには約1000社の登録業者さんがいて、エコキュート本体の割引をしてくれる業者さんも多くありますので比較検討してみましょう。また、匿名・無料で見積もり依頼ができるのでしつこい勧誘などもありません。
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完全無料で利用できるので、お気軽にご利用ください。
アールイーデザイン一級建築士事務所代表。
住宅業界で新築・リフォームの営業・設計・現場監理などを経験。
これまで3000件以上の現場を見ながら、「永く、快適に住み続けるためにはどうしたらいいのか?」を常に探求し続け、リフォーム提案を行っている。
また、現在は執筆活動や企業向けの社員研修、一般向けの講演会なども全国各地にて実施。
著書「やらなければいけない一戸建てリフォーム」(自由国民社、2020年7月発売)
【保有資格】
- 一級建築士(登録番号:第331817号)
- 既存住宅状況調査技術者(証明書番号:第02201400260号)
- 住宅性能評価員(終了証番号:第02170424号)
- インテリアコーディネーター(登録番号:011961A)
- 福祉住環境コーディネーター2級(証書番号:05201851)
- 震災建築物応急危険度判定士(認定番号:730220552)
【所属】
- アールイーデザイン一級建築士事務所:代表
- JIO|株式会社日本住宅保証検査機構:検査員 及び 評価員
- 三井ホーム株式会社:リフォームプランナー
noteにてリフォームに関するお役立ち情報を発信中!
高橋みちる|リフォームコンサルタント|note
利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。
大永 和弘 (おおなが かずひろ)
大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。
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監修者:高橋 みちる(一級建築士)