階段の勾配はリフォームできる|費用相場と補助金制度を解説

階段の勾配はリフォームできる|費用相場と補助金制度を解説

古い住宅の階段は勾配が急になっていることが多く、経年と共に住人も高齢化するので上り降りが大変になってきます。また、勾配の急な階段は転落事故の原因ともなり大変危険ですので、安全に日常生活を送るためにも新築時によく検討する必要があります。この記事で詳細を説明していきますが、まずはこの記事で紹介している内容の結論を簡単に記載します。

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POINT この記事のポイント

・階段の勾配を緩やかにするには既存の階段を撤去、必要な階段数や勾配を決める、1階や2階の天井や床部分の解体・新設、階段を設置する場所の間取り変更などの施工工事が発生する
・階段の勾配変更リフォームには「バリアフリーリフォームの補助金」が支給される場合もある
・階段の勾配変更リフォームの費用は、1.2万円〜45万円ほど

階段の勾配

階段階段(※画像はイメージです)

「勾配」とは、傾斜のことを言います。狭小住宅に階段を取付ける際には急な勾配になりやすく、昔の住宅では比較的多い設計です。

勾配は階段だけでなく住宅の至るところにあり、安全に快適に住宅の耐久性を高める上で必須の設計で、下記のような場所にも勾配がつけられています。

・屋根や雨樋
・ベランダの排水溝までの床
・キッチンのシンクや浴室床
・玄関アプローチのスロープなど


階段の勾配を決めるには階段の3つのパーツの寸法を知っておくとわかりやすいです。各寸法は建築基準法にて規定サイズが定められており、それぞれ下記です。

750mm以上
踏面(ふみづら) 150mm以上
蹴上(けあげ) 230mm以下

一般的な階段の勾配は30〜35度程度ですが、実際に生活していると建築基準法の規定寸法や勾配では昇降しにくい場合が多いので40度〜の勾配で造られていることが多いです。公共施設などでは急勾配の階段が少ないですが、多くの人の上り下りのしやすさに配慮された設計であることがわかります。

使いやすく安全な階段の勾配は?

これから新築される方は、使いやすくて安全な階段の勾配が気になりますよね。階段は勾配によって設置スペースが変わってきますので、設計段階で先にご家族が使いやすい勾配を考えて階段に必要なスペースを決めてから、居室の間取りを考えるのがおすすめです。

住宅は長く住むことになるので、将来的に安心して上り下りできる階段を想定して決めていきましょう。一般的に多く採用されている寸法は下記ですが、ご参考程度に留めてご家族の使いやすいサイズを十分検討されることをおすすめします。

踏面(ふみづら) 240mm以上
蹴上(けあげ) 180mm以下
勾配 33度前後

階段を運動場所として考えるアイデアもあり!

例えばトヨタホームさんでは「超緩勾配階段」という、上り下りもしやすく安全かつ運動にもなる階段を提案しています。こちらの階段では、蹴上げ160mm・踏面250mmとし、勾配は約32.6度で設計されています。

わざわざスポーツジムに通ったりすることもなく、日常生活の場で無理なく運動できるというのは効率的で健康促進にも役立ちます。

参照:超緩勾配階段|トヨタホーム

急勾配の階段はどうすればいい?

古い住宅に多い急な勾配の階段は踏面が狭く、物を持って上り降りをする際に足元が見えにくいので足を踏み外しやすく落下事故のリスクが高いです。万が一の落下の際にも、急な勾配のために途中で止まらず下まで一気に落ちてしまう点も大きな怪我となる危険性が高まります。

日常生活の中でも、急な勾配の階段は上り下りの際に足腰の負担になるので特に身体的に衰え始める高齢者にとっては使いづらく、健康面にも影響が出てきます。そのため、急勾配の階段をリフォームしたいというご要望が多くあります。

階段の勾配を緩やかにするには?

階段の勾配を緩やかにする方法

階段の勾配を緩やかにするには、一般的に下記の施工工事が発生します。解体や撤去する部分が出てくるので比較的大掛かりな工事になりますが、現状より確実に安全な勾配の階段になりますので、施工業者とよく話し合って施工方法や内容を決めていくことが大切です。

1. 既存の階段を撤去

既存の急勾配の階段を全て撤去します。14段の階段の場合で、約15万円ほどかかります。(廃材処分費用も含む)

2. 必要な階段数や勾配を決める

急な勾配の階段から緩い勾配の階段にリフォームするためには、階段の勾配が緩くなる分、階段数が増え一段の高さ(蹴上げ)が低くなります。

3. 1階や2階の天井や床部分の解体・新設

階段の勾配を緩くするということは階段の長さが長くなるので、1階や2階の天井や床部分の解体作業が発生します。天井や床部分には解体できない住宅の躯体となる箇所もあるので、専門家によって慎重に見極めなくてはいけません。天井や床の解体費用は一坪あたり約2万円~です。

4. 階段を設置する場所の間取り変更

階段の勾配を緩くするリフォームでは、多くの場合、階段を長くするために階段の設置場所の間取り変更リフォームも必要になります。現状で急勾配の階段があるということは狭小住宅であると考えられますので、リフォームスペースが確保しにくい場合が多いです。

その場合は、修繕リフォームなどの大規模リフォームと同時に階段の勾配変更を同時に施工したほうが工事がスムーズに進みます。大がかりな間取り変更リフォームを伴うため、費用は約100万円~程度は想定しておくほうが良いでしょう。

階段の勾配変更リフォームには補助金を活用!

階段の勾配変更リフォームは50万円以上の費用がかかることが多く、施工工事も大がかりになりますが、ご家族に要介護者がいらっしゃるなどの要件を満たすことで「バリアフリーリフォームの補助金」が支給されることがあります。

お住まいの地域の自治体によって支給要件や補助金の額などが異なりますのでお問い合わせしてみてくださいね。

関連記事:バリアフリー工事の費用の目安と工事事例を紹介

介護保険制度

住宅改修(介護リフォームは)、介護保険を利用すれば、最大20万円までの費用に対して、1割の自己負担で工事が可能です。例えば費用が20万円ならば、18万円は介護保険で補助され、自己負担は2万円となります(介護保険制度の自己負担割合1割の場合。3割負担なら自己負担は6万円)。

20万円を超えた額は自己負担です。「住宅改修のための補助金は原則1度」という決まりはありますが、限度額の範囲内であれば数回に分けての利用が可能です。もしも、引っ越し先の家でリフォームをしたら、限度額以内なら再度利用するということもできます。

ですが、給付を受けるには条件があります。 その条件とは

①要介護認定で「要支援」または「要介護」であるか
②リフォームする住宅に本人が居住していること。被保険者証の住所と同一であること
③入院や施設入居などで、利用写が自宅を離れていないか
④利用者が上限額まで支給を受けていないか

です。

支給対象の工事であるか迷う場合は、各自治体の介護保険窓口に問い合わせをしてみると良いですね。他の介護サービスの支給限度額とは別枠となるため、ぜひ利用したい制度です。

地方自治体の助成制度

自治体によっては「改修費助成金制度」により、補助金や助成金が支給されることもあります。介護保険では対象外となる工事に利用できたり、20万円より多く助成されたり、幅広い工事に利用できます。

しかし、一般的には受給条件が厳しく、あくまでも介護保険の補助として考えるほうが良いでしょう。こちらも各自治体により、利用者の対象年齢や工事内容に対して補助金上限額が異なるため必ず確認してください。

減税制度で所得控除を受けられる場合も

一定のバリアフリー改修工事を行い、所定の工事を行った年度の確定申告で必要な手続きを行います。その年に納めた所得税から一定額が減税(控除)され、「還付金」という形で受け取ることができます。

利用するための条件と控除額は以下の通りです。

①50歳以上
②要介護・要支援に認定されている
③所得税法上の障害者である


控除額 対象額 200万円に対し10%を控除 期間は1年間です。

長期優良住宅化リフォーム推進事業は条件を満たせば受けられる場合も

長期優良住宅化リフォーム推進事業は条件を満たせば受けられる場合も

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯は子育てしやすい住宅への性能向上を行うリフォームを支援する事業です。
補助対象リフォーム工事費等の合計の1/3の額が補助される制度となっています。
また、必須工事箇所があったり、特定の性能を一定の基準までクリアしなければなかったり認定基準が細かいので、その点は注意が必要です。以下の認定制度パンフレットをご覧ください。
長期優良住宅認定制度の概要について[増築・改築版] (hyoukakyoukai.or.jp)


最新のリフォーム補助金一覧を掲載している記事もございます。こちらも是非ご参考にされてみてください。
【2024年最新】リフォーム補助金の全て。実は火災保険が利用できるケースも

家仲間コムの階段のリフォーム事例

家仲間コムにおける、過去の事例と相場を紹介します。

階段の勾配リフォーム【45万円】

【施工前】
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場所 : 大阪府 堺市中区
施工箇所 : 階段
施工期間 : 4日
施工業者 : 職人直営店 株式会社イール

階段の勾配がきつく上り下りが大変なため、勾配を緩やかにして欲しいという要望がありました。階段に踊り場を設置することで勾配を緩やかにして、日常の負担を減らしています。

関連記事:階段の勾配リフォーム

玄関の段差解消と手すり【5万円】

【施工前】
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【施工後】
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場所 : 山梨県 甲府市
施工箇所 : 浴室と玄関
施工期間 : 1日
施工業者 : 住宅リメイク専門店 アヴァンセ 

アヴァンセ 玄関ポーチの段差が高すぎたため、土間階段を1段増やしています。浴室には縦と横に手すりを付けたことで快適になりました。

関連記事:玄関の段差解消と手すり

玄関の段差解消と手すり取り付け【8.2万円】

【施工前】
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【施工後】
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場所 : 東京都 町田市
建物のタイプ : 一戸建て
築年数 : 不明
施工箇所 : 玄関
施工期間 : 2日
施工業者 : 株式会社 彩ホームプランニング

年配の方には少し高すぎる玄関の段差を、ステップを付けることで解消させました。また、壁には昇降の際に助かる手すりを取り付けています。

関連記事:玄関段差解消・手すり取り付け

勝手口の段差解消【1.2万円】

【施工後】
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【施工後】
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場所 : 埼玉県 さいたま市
施工箇所 : 玄関・勝手口
施工期間 : 2日
施工業者 : 本間住宅プラン事務所

勝手口から地面までは結構な高さがありましたが、1段のみの階段しかありませんでした。よく利用されると聞き、このままの高さでは危険なため、1段増やして段差を緩やかにしています。また、昇降しやすいように、勝手口、玄関共に手すりを取り付けました。

関連記事:勝手口段差解消・玄関手すり取付け

階段の勾配まとめ

階段の勾配は、現状の家族構成で考えるのではなく、将来的に安全で使いやすい勾配を想定して決めるのがおすすめです。古い住宅では急勾配の階段が多いので、家庭内事故を防ぐためにも早めにリフォームをして安全対策をしておきましょう。

階段の勾配で悩んだら?

階段の勾配についてお悩みなら、専門知識のあるプロの業者さんに計算してもらって、限られた住宅スペースを有効活用して設置できるようアドバイスをもらうのが得策です。

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