リフォームと建て替えどちらを選ぶか|それぞれの内容とかかる費用

 リフォームと建て替えどちらを選ぶか|それぞれの内容とかかる費用

築年数が長くなってきた戸建て住宅での悩みのタネとして、「リフォームを行うのがいいのか、いっそ建て替えてしまった方がいいのか」という問題があります。今回は、リフォームと建て替えどちらを選ぶかについて、またそれぞれの内容とかかる費用について解説します。まずはこの記事のポイントをまとめました。

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POINT この記事のポイント

・リフォームと建て替えの違いは基礎部分を取り壊すか否かである
・リフォームと建て替えにはそれぞれメリット・デメリットがある
・建て替え時には建蔽率と容積率に注意する必要がある
・リフォームかて替えかは、ライフスタイルに応じて選択するのがおすすめ

リフォームと建て替えの違い

リフォームと建て替えの違いは、「基礎部分を取り壊すか否か」というところにあります。建物の基礎部分まで含めて解体を行い新たに家を建てることを「建て替え」といい、基礎部分はそのままにしたうえで改修を行うことを「リフォーム」と呼びます。

リフォーム費用と建て替え費用

リフォームの場合と建て替えの場合それぞれの費用はどれくらいかかるのか、比較してグラフにしてみました。

 費用の違い リフォームと建て替えの費用の違い

30坪程度の戸建て住宅の場合、全面リフォームの場合で300万円〜1,200万円程度、建て替えの場合で1,400万円〜3,000万円程度が目安となります。基本的にはリフォームの方が安いのですが、例えば大規模な耐震補強工事や傾きの修正などを行う場合、建て替えと近い金額になってしまうこともあります。

リフォームと建て替えのメリット・デメリット

一般的にはリフォームの方が建て替えよりも安くすむ場合が多いのですが、本当にそれだけでリフォームを選択してもいいのでしょうか?リフォームと建て替えそれぞれにメリットやデメリットがあり、それをしっかり知った上で選択を行うことが大切です。

リフォームのメリット

 リフォームのメリット・デメリット

1. 工事期間が短い

基礎の解体工事などの必要がなく、工事期間は建て替えよりも短い30日〜90日程度であることが多いです。

2. 居住しながらリフォーム工事を行うことができる

全面リフォームであっても居住しながら工事を行うことができる場合が多いです。

3. 建蔽率・容積率の規制を受けない

詳しくは後述しますが、現在の建築基準法になる前に建てられた家の場合リフォームであればその当時の建蔽率を保つことができます。(増築リフォームの場合を除く)

4. リフォーム箇所を選択できる

リフォームしたい部分としたくない部分を選択することができます。また、予算の都合で優先順位を決めながらリフォームしていく、という融通もききやすいです。

リフォームのデメリット

1. 大規模リフォームの場合費用がかさみやすい

シロアリ被害や傾き修正、耐震工事などの大規模な工事を行う場合、かえって建て替えよりも高くついてしまうこともあります。

2. 建て替えに比べて自由度が低い

例えば新たに部屋を設けたり浴室を広げたりといった大規模な間取り変更などは難しい場合もあります。

建て替えのメリット

 建て替えのメリット・デメリット

1. 安全性を確実に高めることができる

基礎から新たに建てる場合、耐震性など現在の基準に沿って工事を行うことになるため、しっかりと安全性を高めることが可能です。

2. 間取りなど新たに決めることができる

古い間取りにとらわれず、新たに間取りなどを設計することができます。浴室を広げるなどリフォームでは難しいこともやりやすいです。

建て替えのデメリット

1. 総費用が高額になりやすい

解体工事費がかかるほか、建て替え中の仮住まいにかかる費用登記費用などと様々な費用が必要となります。

2. 家が現在より狭くなる場合もある

建蔽率などの問題から、建て替え後の方が狭くなってしまう場合も少なくありません。

3. 固定資産税などの税金がかかる

建て替えの場合、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、登録免許税などがかかってきます。

リフォーム・建て替えと建蔽率・容積率

「建て替えをしたら以前の家よりも狭くなってしまった」という例は意外と少なくありません。それには、建蔽率と容積率が関係しています。

建蔽率(けんぺいりつ)・・・敷地面積に対する建築面積
容積率(ようせきりつ)・・・敷地面積に対する建物の延床面積

建蔽率は30%〜80%の範囲で制限が決められています。この制限は地域の都市計画によって異なります。例えば、100坪の敷地があったとしても建蔽率が30%であれば最大でも30坪の住宅しか建てることができません。

建蔽率が高ければ敷地いっぱいに建物を建てることができますが、低ければ空きスペースを多く設けなければいけません。

容積率は、50%〜1300%の範囲で制限が定められています。30坪の土地で容積率が200%であれば、最大60坪の延床面積の建物を建てることができます。(延床面積=建物全体の合計。例えば1階40坪、2階20坪など)容積率が大きければ大きくて広い建物を建てることができます。

 建ぺい率と容積率のイメージ caprion:建ぺい率と容積率(※画像はイメージです)

なぜリフォームや建て替えで建蔽率や容積率が重要になってくるかというと、昔の建築基準法に則って建てられた家は現在の建築基準法では違法建築となる場合があるからです。建蔽率や容積率の定めが変更になった地域では特に注意をしなければなりません。

例えば昔は建蔽率80%だった場合でも現在では50%になってしまう、という場合も多くあります。そこで建て替えをしてしまうと、現在定められている建蔽率や容積率にあわせなければいけないため家が狭くなってしまうのです。

リフォームなら、増築を行う場合を除いてその家で現在適用されている建蔽率・容積率のままにしておくことができるので家を狭くしなくてもすみます。建蔽率・容積率は市町村の役所の都市計画化に問い合わせれば確認できるので、リフォームか建て替えで迷ったらまずは確認してみるといいでしょう。

リフォーム・建て替えはライフスタイルに応じて選択しましょう

上記ではリフォーム・建て替えについて様々な面からメリットやデメリットを挙げてきましたが、大きな金額の工事となるため決めかねる場合も少なくはないでしょう。最終的にリフォームか建て替えどちらかの選択を行うとき、現在や未来のライフスタイルを考慮すると良いでしょう。

例えば現在の家族構成や未来の家族構成、同居や二世帯住宅にする予定について、その家を将来的に継ぐ人のことなど、先々のライフスタイルを考慮してリフォームか建て替えの選択を行うことをおすすめします。

リフォームをおすすめするケース

・将来的に売却や賃貸に出す可能性がある場合
・将来的に2世帯住宅にする可能性がある場合
・生涯住み続ける終の棲家にするかまだ未定の場合
できるだけ低額で抑えたい場合
基礎の耐震問題やシロアリ被害などがない場合

建て替えをおすすめするケース

・生涯住み続ける終の棲家にすることが決定している場合
家を今後引き継いでいく人がいる場合
・将来的な資金計画に余裕がある場合
・間取りや断熱など大規模な変更をしたい場合
・耐震補強やシロアリ被害などで多額の費用がかかる場合
・リフォームをすると、建て替えときの70%以上の費用がかかる場合

リフォーム・建て替えをお得に行うには

戸建て住宅の全面リフォームや建て替え工事は大規模な工事のため費用も多額になりがちです。我が家の場合リフォームと建て替えのどちらが良いのかと迷ったときには、業者の見積もりやアドバイスをもらって考えるという手があります。

リフォームと建て替えのどちらがよりよい方法なのか、費用や実際の改修内容についてなど、プロの視点からのアドバイスはとても有意義なものです。また、業者によってリフォームや建て替えの坪単価が違うことは多いです。

例えば30坪の建て替え工事を行う場合、坪単価50万円の業者では1,500万円ですが55万円の業者では1,650万円と、坪単価が5万円違うだけで150万円も差が出てしまいます。そのため、複数の業者からの見積もりをもらい工事費・単価などの差を比較検討することをおすすめします。

複数の業者からの見積もりやアドバイスをもらうことで、信頼できる業者を選ぶことにもつながります。複数見積もりを依頼して比較検討することこそが、リフォームや建て替えをお得に行うコツです。大規模な工事だからこそ、慎重に信頼できる業者選びを行いましょう。

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利用会員数260,000人、登録リフォーム会社数1,400社を超える日本最大級のリフォームマッチングサイト「家仲間コム」を運営するリフォーム専門家集団の編集部が、一般的なリフォームの情報を纏めた簡易的な記事ではなく、実際の見積情報や価格相場に基づいた読者に役立つ、価値ある情報をお届けしています。

執筆者プロフィール
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大永 和弘 (おおなが かずひろ)


大学卒業後、カーテンレールシェアNo1の内装材メーカートーソー株式会社にて、7年間勤務。
入社後は、大手ハウスメーカーやリフォーム会社、工務店、内装工事業者など約200社を担当。その際に新築住宅やリフォーム住宅など数多くの現場を経験。

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